2023 Fiscal Year Research-status Report
リソソーム-鉄経路が規定する白血病幹細胞特異的な遺伝子発現制御機構の特定
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23K07855
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
倉吉 健太 金沢大学, がん進展制御研究所, 博士研究員 (00802901)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性骨髄性白血病(AML)は異常増殖と分化不全を特徴とする悪性腫瘍であり、白血病幹細胞が存在することが知られている。白血病幹細胞は抗がん剤に対して耐性を示すため、白血病幹細胞の未分化維持機構の解明は有効な治療薬の開発に向けて重要な課題である。我々はリソソームが鉄の恒常性を維持することで、がん遺伝子の発現を亢進し、白血病細胞特異的に未分化性を維持することを見出した。本研究では、(1)がん遺伝子の転写制御に寄与する鉄関連分子の特定を行うととに、(2)転写レベル以外での制御機構の探索することで、リソソーム-鉄経路による白血病幹細胞特異的な発現制御機構の詳細な解析を進めた。 (1)前年度に特定した未分化維持に寄与する鉄結合分子の機能解析を実施し、がん遺伝子の発現維持に寄与することが判明した。また、その遺伝子の破壊はがん遺伝子のエンハンサーにも影響を及ぼした。また、その遺伝子の下流分子も同様に、がん遺伝子の発現を低下させ、その分子は、がん遺伝子のエンハンサーにも直接結合することも判明した。 (2)リソソーム阻害処理に伴い、複数のプロテアーゼ関連分子の発現が亢進することが判明した。また、それらのプロテアーゼには、がん遺伝子を直接の標的とする遺伝子も含まれていて、リソソーム阻害は顕著にがん遺伝子のタンパク質量にも影響を及ぼした。 従って、リソソーム-鉄経路によるがん遺伝子の発現制御機構を解明に向けて有用な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がん遺伝子の発現制御に直接寄与する分子を複数特定できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄結合分子の下流分子をノックアウトすることで、リソソーム阻害と同様に分化誘導できるのかを検討する。また、がん遺伝子を直接の標的とするプロテアーゼ関連分子については、遺伝子破壊細胞株を作成し、がん遺伝子のタンパク質に影響を及ぼすかの確認実験およびリソソームに阻害による分化誘導を寄与するのかを検討することで、がん遺伝子の発現制御機構の詳細およびリソソームを介した未分化維持機構を明らかにする。
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