2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the mechanism behind the self-renewal capability of tissue-resident macrophages
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23K07857
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
山根 利之 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (30452220)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 組織常在マクロファージ / 自己複製能 / マクロファージ / 転写制御因子 / 血液の発生 / 免疫系の発生 / 卵黄嚢 |
Outline of Annual Research Achievements |
成体に存在する組織常在マクロファージは、胚胎期の胚体外の袋状の組織である卵黄嚢に起源し、体中の末梢組織に播種し、造血幹細胞に依存しない形でその場で自己複製を行い、生体の防御機構、恒常性の維持に関わっている。一方、成体骨髄に起源する単球由来マクロファージは急性の炎症応答に関わるものの、短寿命であることが知られている。本研究課題は、組織常在マクロファージの例外的な特徴である自己複製能力について、短寿命の単球由来マクロファージと比較検証しながら、その細胞生物学的基盤、分子機構を解明することを目的としている。 腹腔には、自己複製する組織常在マクロファージとともに、成体骨髄起源の短寿命の単球由来マクロファージが混在している。腹腔のこの特性と比較的細胞調達が容易な特徴を利用し、本年度は、腹腔内の同一環境下で生存するこの2種の細胞サブセットに注目して、まず細胞周期特性を明らかとした。また本研究開始時点で、マクロファージの自己複製に関わる因子として、MafB/Mafの転写因子の存在が自己複製を抑制していることが知られていたが、我々の観察した結果からは、MafB/Mafは自己複製しない単球由来マクロファージよりむしろ自己複製する組織常在マクロファージで発現が強いことを明らかとし、MafB/Mafは自己複製抑制因子というよりは、細胞周期制御因子であることを強く示唆した。現在、これら2つのマクロファージサブセットの細胞生物学特性、分子遺伝学的特性についてさらに解析を進めている。また興味深いことに、マウスの雌雄個体でこの2つのサブセットの存在頻度が異なることも見出しており、今後、性ホルモンの関与の可能性などについても解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己複製機構の解明に際し、まずは組織常在マクロファージの細胞生物学特性の解析を順調に進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき、組織常在マクロファージの細胞生物学特性を明らかとするとともに、遺伝子発現解析を行うことで、自己複製に関わる転写制御ネットワークの解明を進める。
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Causes of Carryover |
組織常在マクロファージの解析の一部に他予算を充てたことで、次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額については、次年度の遺伝子発現解析が多大になるため、それらに充てる予定である。
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