2023 Fiscal Year Research-status Report
The mechanisms of myeloma-driving transcriptional program
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23K07862
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大口 裕人 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (70451557)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / 転写 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性骨髄腫は形質細胞の性質を有するがんであるが、分化した形質細胞が腫瘍化する機序は十分理解されていない。多発性骨髄腫は骨髄微小環境への高い依存性があるが、申請者は、骨髄微小環境因子IL6に着目し、IL6シグナル下流の機能を見出した。すなわち、IL6シグナルは初期応答として骨髄腫細胞にエピゲノム変化とそれに伴うB細胞系譜関連転写制御因子の発現を誘導し、引き続いて、骨髄腫細胞に特徴的な転写サインの形成に寄与していることを見出した。そこで、本研究では、この骨髄腫異常転写プログラムを駆動する作動原理を検証し、この腫瘍の増殖支持基盤の解明を目指している。ChIP-seq解析によりIL6が誘導する転写制御因子が骨髄腫細胞を特徴づける転写サインを形成する遺伝子群に結合していることが検証できた。当該年度はさらに、骨髄腫細胞でこれら因子の遺伝子ノックアウトを行った。その結果、これらの因子が骨髄腫細胞に特徴的な転写サイン形成に寄与していることを見出した。さらに、IL6はB細胞系譜関連転写制御因子の標的遺伝子への結合も増強し、IL6による特徴的転写サインの誘導もこれらの因子を介していることを明らかにした。また、骨髄腫細胞の生存および増殖にもこれらの因子が寄与していることを明らかにした。以上の結果から、B細胞系譜関連転写制御因子が骨髄腫異常転写プログラムの重要因子であり、治療標的となり得ることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IL6がB細胞系譜関連転写制御因子を介して骨髄腫細胞の維持に寄与していることを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
B細胞系譜関連転写制御因子が骨髄腫細胞において形成しているタンパク質複合体を質量分析計を用いて明らかにし、転写制御マシナリーの詳細を解析する。そこから、新たな治療標的の検索を行う。また、IL6ヒト化マウス(IL6-NOGマウス)を用いて、B細胞系譜関連転写制御因子の抑制が骨髄腫細胞の増殖がin vivoでも抑制されるかを検討する。
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Causes of Carryover |
次年度以降、タンパク質複合体解析を進めるための消耗品やマウスの使用増加が見込まれたため、本年度の購入を最小限に抑えた。残額は分子生物学用試薬や器具、また、マウスの飼育費で使用する計画である。
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Research Products
(5 results)