2023 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫に着目した、川崎病の病態解明および新規治療法の開発
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23K07877
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 浩平 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80402858)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 川崎病 / 好中球 / 好中球細胞外トラップ / 血管炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
川崎病の病態解明および新規治療法の開発を目指して、特に自然免疫系の中心的役割を果たす好中球に焦点を当てて研究を進めている。本研究では、川崎病疾患モデルマウスを用いた動物実験と、川崎病患者から得た血液検体を用いた実験を行っていく。 2023年度はおもに真菌由来物質であるCandida albicans water soluble fraction(CAWS)を投与して作成した川崎病モデルマウスを用いた実験を行った。この疾患モデルマウスは、実際の川崎病と同様に大動脈基部や冠動脈起始部など中型動脈の分岐部に血管炎を発症する。免疫組織染色などの手法にて、この炎症部位に浸潤している免疫細胞がおもに好中球であること、そして炎症部位では大量の好中球細胞外トラップ(NETs)が形成されていることを発見した。さらに、病変部位に浸潤している好中球が、ある特徴的な表面形質をもつ一群であることを見出した。現在、この好中球のsubpopulationが炎症の発現にどのように関わるのかという問いに対して、NET形成における視点から研究を進め、さらにこの好中球に発現する分子が川崎病血管炎の活動性と相関するか否か、などについて解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
真菌由来物質であるCAWSを投与して作成した川崎病の疾患モデルマウスを用いて研究を行い、免疫組織化学の手法などを用いて、川崎病における血管炎の病態に関わると考えられる炎症細胞の一群を同定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に明らかにした研究成果から、川崎病の血管炎の病態形成に関わると考えられるある好中球の一群を見出すことができた。今後は、この好中球の一群が炎症部位で発見された好中球細胞外トラップ(NETs)形成にどのように関わるかについて、NETs阻害薬投与による実験などを行って明らかにする。さらに、この好中球に特徴的に発現する分子を明らかにし、この分子動態が川崎病血管炎の重症度と相関するか否かにについて、動物実験を進めていく。
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Causes of Carryover |
2023年度は物品費、旅費、人件費・謝金、その他の費用、全てにおいて予算見積もりよりも少額で済んだため、次年度使用額が生じた。特に旅費に関しては、現地参加ではなく、オンラインでの参加で済んだことが大きい。 2023年度に興味深い研究結果が得られており、次年度のさらなる研究の進展のため使用する予定である。
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