2023 Fiscal Year Research-status Report
ワクチンを含む抗ウイルス薬in vivo評価系に資する新規HTLV-1感染小動物モデルの作製
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23K07924
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
高橋 良明 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20639520)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | HTLV-1 / 感染動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトT細胞白血病ウイルス1型 (HTLV-1)は、血液、性液、母乳を介してTリンパ球に感染する。HTLV-1に感染して無症候性キャリアになると、その一部は成人T細胞白血病 (ATL)やHTLV-1関連脊髄症 (HAM)など、予後不良の疾患を発症する。しかし、これらの疾患に対する根治療法はこれまでになく、HTLV-1感染症を予防・治療できる薬の開発が強く求められている。本研究において我々は、HTLV-1感染症の予防薬や治療薬の開発に必要な、感染性と再現性に優れたHTLV-1感染小動物モデルの作製を目指している。そこでまず、ラットのリンパ組織から分離したリンパ球を、マイトマイシンC処理したHTLV-1感染細胞と混合培養してHTLV-1に感染させ、新たに複数のHTLV-1感染ラット細胞株を樹立した。そして得られた感染細胞について、HTLV-1プロウイルス量をPCR法で、免疫学的・ウイルス学的特徴 (rat CD3、CD4、CD8、CD19、HTLV-1抗原など)をフローサイトメトリーで調べた。また、HTLV-1感染ラット細胞株から誘導した派生株をマイトマイシンC処理した後、試験管内でラットリンパ球と混合培養し、感染効率を確認した。さらに、これらのHTLV-1感染ラット細胞株をラットに接種して、生体内で効率よく感染するか検証することにした。現在、接種するルートや細胞数など、各種条件検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットから調製した細胞にHTLV-1を感染させて、複数の感染細胞とその派生株を新たに樹立することができた。現在、試験管内だけでなく、生体内での感染実験にも着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
他の研究グループでの使用が報告されているHTLV-1感染細胞株と、本研究で我々が新たに樹立した感染細胞株を使い、ラット生体内での感染効率の比較実験を行う。また感染モデルを作製した後には、我々がこれまでに開発したHTLV-1 Envタンパクを標的にした、ワクチンm8ΔHTLV-1envや中和抗体YTH-W-5D12の感染防御効果を検証する。
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Causes of Carryover |
2023年度はin vitroでの感染実験が主となり、in vivoでの感染実験の一部は次年度に持ち越しとなった。未使用分は予定通りin vivo実験に使用する。
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