2023 Fiscal Year Research-status Report
肺炎球菌type 1 pilusの肺炎発症と薬剤耐性における役割の解明
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23K07927
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
宮崎 治子 東京医科大学, 医学部, 准教授 (10527948)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | type 1 pilus / 肺炎球菌 / 付着因子 / 薬剤感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
現行の肺炎球菌ワクチンでは予防できない肺炎球菌非ワクチン血清型35Bの臨床分離株は、付着因子である繊毛 type 1 pilus (T1P) 遺伝子を高率に保有しペニシリンに低感受性である。本研究は、T1Pの肺炎発症への関与および薬剤低感受性との関連を解明し、ワクチンの開発や抗菌薬の効果が期待できない感染症の予防・治療法の開発へ繋げることを目的としている。 (1)T1P陽性35B臨床分離株とその遺伝子相同組み換えにより作製したT1P欠損株、T1P保有標準株TIGR4(血清型4)等を用いてをヒト肺胞上皮細胞A549への付着率を比較したところ、T1Pの付着への関与が示唆された。T1P遺伝子保有株でも発現は一定でないことが報告されているため、宿主に接触することが発現を誘導する一因であるとの仮説を立て、宿主細胞の有無による培養菌のT1P発現量の違いや細胞付着菌と培養液中浮遊菌のT1P発現量の違いを時間毎にqPCRで測定し比較した。しかし、測定結果はばらつきが大きく、T1P発現を誘導する明らかな条件を見いだすことはできなかった。 (2)T1P欠損株の薬剤感受性を測定したところ、親株と感受性に違いがある薬剤はなかった。T1P陽性であることは35Bの薬剤低感受性に直接関与していないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備実験からT1Pは宿主細胞への接触により発現が誘導されると予想していたが、計画した実験では明らかに有意差を示す結果が得られなかった。従って、より多くの条件でT1P発現実験を行い、時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度:T1P陽性菌に対するマウスマクロファージのサイトカイン産生をELISAにより経時的に測定し、T1Pの病原性への関与を検討する。また、T1P陽性35B株の遺伝子型やβラクタム薬感受性を決定するペニシリン結合タンパク変異を解析し、特徴や由来を検討する。 2025年度:T1P遺伝子抑制薬・物質を検索する。また、研究結果をまとめて発表する。
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Causes of Carryover |
研究が予定より遅れたため次年度使用額が生じた。 2024年度はELISAや遺伝子解析等において必要な試薬や器具の購入に使用予定である。
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