2023 Fiscal Year Research-status Report
腸管出血性大腸菌毒素SubABの宿主獲得免疫破綻機構とその感染病態制御法の解明
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23K07942
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
津々木 博康 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 講師 (40586608)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 細菌毒素 / 腸管出血性大腸菌 / 宿主免疫 / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
Subtilase cytotoxin (SubAB)は、腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli, EHEC)O113:H21株から同定された毒素で宿主細胞の小胞体(ER)のシャペロン蛋白質BiPを切断することで宿主細胞にERストレス性の細胞死を誘導する。わが国でもSubABを産生するEHECが分離されているが、感染病態におけるSubABの病原性は不明である。 申請者は以前、SubABがマクロファージにおいてリポ多糖(LPS)誘導性の誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の発現およびNO産生を抑制することで大腸菌の生存を亢進することを見出した。さらに、SubABは宿主感染防御機構であるインフラマソームとそれによるインターロイキンの産生を抑制し、腸管病原性細菌の感染が増悪化することを報告した(Tsutsuki H. et al,2022)。本研究では、SubABの新しい病原性発現機構の解明を目指し、自然免疫や獲得免疫などに関わる様々な生体防御機構、赤血球や白血球に及ぼすSubABの影響などを包括的に解明することを目的としている。本年度はマクロファージにおけるインフラマソームの活性化解析およびサイトカイン発現解析を行った。また、SubABのantibody dependent enhancement (ADE) 効果の機序解明に向けてSubABとイムノグロブリンの相同性に焦点を当てた。特に、BLAST解析によりSubABのAサブユニットのアミノ酸配列に存在するイムノグロブリン相同アミノ酸配列の探索を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マクロファージにおけるサイトカイン(IL-17など)の発現解析が難航しており時間を要したためやや遅れていると判断した。一方、ADE効果の機序解明に向けてSubABとイムノグロブリンの相同性解析に焦点を当てた。特にBLAST解析の結果、SubABのAサブユニットにイムノグロブリンH鎖と一部相同なアミノ酸配列が存在する可能性が示唆された。これはSubABがBiP(Binding immunogloblin Protein)を基質として認識し切断する理由の解明に重要であると考え、R5年度は実験系の樹立、解析法の開発に注力してきた。現在、SubABに対する抗血清を作製し、さらに詳細な解析を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒスチジンタグを融合した組換えタンパク質SubABを精製した。これを抗原としてウサギに免疫し抗血清を得た。現在、抗血清をイムノグロブリンに部分精製を行っている。今後、得られた抗体標品を用い、SubABに対する抗体がSubABの毒性を阻害するか、あるいはADEを示すかを検証する。また、SubABを培養細胞に処理し、細胞内侵入や細胞内動態を可視化するための免疫染色用抗体ツールとして使用する予定である。今後、本抗体を用いた免疫沈降法など、Aサブユニットと宿主タンパク質の相互作用(特にSubABのBiPに対する結合や切断作用)について詳細に解析予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度に購入を予定していた試薬、組換えSubABタンパク質に対するウサギ抗血清の作製受託、ディスポーザブルプラスチック製品の納期が年度内に間に合わなくなったため未使用額が生じた。 当該年度に購入できなかった試薬などの物品は次年度に購入予定である。
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