2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the pathogenic mechanism of de-differentiation into pancreatic adenocytes in diabetic pancreatic beta cells.
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23K07990
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木村 真希 (小柳真希) 神戸大学, 医学部附属病院, 特命助教 (40623690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸 良明 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10335440)
堀 裕一 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (80248004)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 膵β細胞 / 可塑性 / mTORC1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、TSC2ノックアウトマウスの膵島における腺房細胞への脱分化を検討することが主な目的である。2023年度は、主にTSC2ノックアウトマウスの膵島における遺伝子発現を、定量PCRや免疫染色を用いて検討した。その結果、コントロールマウスでは全く認められない腺房細胞マーカー(アミラーゼ、リパーゼ、Ptf1a)が、TSC2ノックアウトマウスの膵島において発現していることが明らかとなった。この結果をさらに確認すべく、Lineage-tracing法を用いて膵β細胞由来細胞にYFPが発現するTSC2ノックアウトマウスを作製した。このマウスの膵島を免疫染色したところ、YFP発現細胞において腺房細胞マーカーの発現が確認された。この現象の普遍性を確認するために、2型糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスの膵島でも同様にlineage-tracingを行ったところ、やはり膵β細胞由来細胞においてアミラーゼやPtf1aが発現していることが明らかとなった。db/dbマウスの膵β細胞ではmTORC1活性が恒常的に活性化されていることから、この現象はmTORC1活性化に伴うものと考えられた。mTORC1活性化が腺房細胞への脱分化を制御していることを確認するために、mTORC1活性阻害薬であるラパマイシンを腹腔内投与実験を行った。その結果、ラパマイシン投与TSC2ノックアウトマウスの膵島では、Ptf1a発現の消失が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TSC2ノックアウトマウスの膵島における解析は概ね順調であり、当初立てていた仮説を実証する綺麗なデータが再現性をもって確認されている。ただし、計画案の一つである発癌実験に関しては、予想されたデータが得られておらず、これに関しては研究計画の変更も今後考慮する必要がありえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度はTSC2ノックアウトマウスの解析がメインであり、順調な進捗であったと考える。今後は、ヒト2型糖尿病患者におけるデータの解析が必要であり、ヒトサンプルの取得について考慮している。また、TSC2ノックアウトマウスの膵島におけるシングルセル解析は不可避と考えているが、研究予算が十分でないことから、こちらについても検討が必要である。
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