2023 Fiscal Year Research-status Report
精巣-副腎-骨格筋軸による骨格筋の性差構築機構の解明
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23K07991
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
馬場 崇 九州大学, 医学研究院, 准教授 (40435524)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 副腎 / グルココルチコイド / 性差 / 男性ホルモン / Ad4BP / SF-1 / Nr5a1 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究項目①では、Ad4BP-BAC-EGFPマウスの副腎皮質束状層細胞(zF)を用いたCUT&RUN-seqにより男性ホルモン受容体(AR)の標的ゲノム領域を探索したが、望ましい結果は得られなかった。原因として、抗体反応中にARが核外に移行した可能性が考えられる。代替法として、ChIP-seqによるARの標的ゲノム領域の同定を行い、現在データ解析中である。また、Ad4BP遺伝子の発現を制御するエンハンサー候補領域を特定した。ARがこれらの領域に結合するか否かを調べた後、ゲノム編集による機能検証を行う。 研究項目②では、副腎zF特異的なAd4BP KOマウスを作出するため、Cyp11b1遺伝子の発現制御下にCreリコンビナーゼを発現するマウス(Cyp11b1-Creマウス)を作成中であるが、十分なCreリコンビナーゼを発現するマウスの作出は未完了である。引き続き、適切なマウスラインの作出を目指す。 今後の研究推進方策として、取得済みの副腎zFトランスクリプトームデータとARのChIP-seqデータを統合し、男性ホルモンによるAd4BP遺伝子の発現抑制メカニズムを解明する。男性ホルモン存在条件で発現が活性化する遺伝子を同定し、候補因子のAd4BP遺伝子の発現抑制への関与を培養細胞で検証後、適切な場合はKOマウスを作出する。また、Cyp11b1-Creマウスの作出を継続し、副腎zF特異的なAd4BP KOマウスを作出することで、副腎皮質からのグルココルチコイドの放出の減少が骨格筋に及ぼす影響を明らかにする。これらのマウスを使用して骨格筋の形態やエネルギー代謝の性差を詳細に解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究項目① 男性ホルモンによる副腎zFにおけるAd4BPの発現抑制を介したグルココルチコイドの産生抑制機構:Ad4BP-BAC-EGFPマウスから高純度で単離した副腎皮質束状層細胞を用いたCUT&RUN-seqを行い、男性ホルモン受容体(AR)の標的ゲノム領域の探索を行った。しかし、良好な結果を得ることができなかった。一般的なCUT&RUNプロトコールではクロマチンの固定を行わずに一晩の抗体反応を行う。抗体反応中はARのリガンドである男性ホルモンが存在しない状態に置かれるため、おそらくARが核外に移行してしまったのではないかと考えている。以上の結果を受け、クロマチンの固定を行うChIP-seqによりARの標的ゲノム領域の同定を進めている。現在ChIP-seqのデータが得られ、その解析を行っているところである。生後の副腎zFにおけるAd4BP遺伝子の発現を制御するエンハンサー(zFE)に関しては、候補領域を三箇所(遺伝子上流領域、第4イントロン内、および第6イントロン内)同定した。上記のChIP-seqデータを用い、ARがこれらの領域に結合するか否かを調べる。また、zFE候補領域をゲノム編集で欠損させることにより、これらの領域が真にエンハンサーとして機能するか否かを検討する。 研究項目② Ad4BPの発現低下に伴うグルココルチコイドの減少が誘導する骨格筋のオス化:副腎zF特異的なAd4BP KOマウスの作出に向け、本細胞に特異的な発現を示すCyp11b1遺伝子の発現制御下にCreリコンビナーゼを発現するマウス(Cyp11b1-Creマウス)の作出を行った。しかし、現在までに以降の実験に使うために十分なCreリコンビナーゼを発現するマウスは得られていない。引き続き作出を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目① 男性ホルモンによる副腎zFにおけるAd4BPの発現抑制を介したグルココルチコイドの産生抑制機構:コントロールオス、コントロールメス、性腺除去オス、および性腺除去後に男性ホルモンを投与したメスから調製した副腎zFにおけるトランスクリプトームデータをすでに取得している。これらのトランスクリプトームデータとARのChIP-seqデータを統合する。男性ホルモン存在下(コントロールオスおよび男性ホルモン投与メス)で非存在下(コントロールメス、および性腺除去オス)と比較して発現が高く、かつ遺伝子近傍にARが結合する遺伝子を、ARによるAd4BP遺伝子の発現抑制を仲介する因子候補とする。その後、まず培養細胞を用い、ARが仲介因子候補遺伝子の転写を活性化すること、および仲介因子がAd4BP遺伝子の発現を抑制するか検討する。想定通りの挙動を示した候補因子に関しては、KOマウスの作出を検討する。 研究項目② Ad4BPの発現低下に伴うグルココルチコイドの減少が誘導する骨格筋のオス化:引き続きzF特異的にCreリコンビナーゼを発現するCyp11b1-Creマウスの作出を行う。十分なクオリティを有するマウスの作出が完了次第、Ad4BP-floxマウスと交配し、副腎zF特異的なAd4BP KOマウスを作出し、骨格筋の形態およびエネルギー代謝の性差について検討する。
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[Presentation] Absolute quantification of fructose-2,6-bisphosphate, a regulator of glycolysis2023
Author(s)
Takashi Baba, Yoshihiro Izumi, Keisuke Tomohara, Masatomo Takahashi, Fumiya Takahashi, Antonius Christianto, Hiroki Yamazaki, Takeru Nose, Takeshi Bamba & Ken-ichirou Morohashi
Organizer
9th International Conference of Brain and Gonadal Biology
Int'l Joint Research
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