2023 Fiscal Year Research-status Report
視床下部神経核の領域化機序の解明 : 頭部全体内における細胞挙動を捉える
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23K07999
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
齋藤 加奈子 藤田医科大学, 医学部, 講師 (50746906)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / ニューロン / マウス頭部発生 / 細胞移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
内分泌や自律神経の調節を担い、多様な神経核群を形成する視床下部が機能的な神経ネットワークを構築していくには、神経細胞の移動やその際に起こりうる周辺細胞との接触・相互作用が不可欠である。また、これら視床下部等含む間脳は、頭蓋骨にと止まらず、大脳など多くの器官に守られるかの様に囲まれ頭部深層部に存在する。 これら組織形成において、視床下部がこの近隣組織から受けるシグナル・接触により、細胞の移動・配置に大きな影響を受けることが考えられる 本研究では、視床下部発生過程における 「細胞の形態や挙動」に焦点を当て、他の脳器官よりも頭部深層部に存在する視床下部細胞群が、この近隣組織から受けるシグナル・接触、周囲組織からの拘束性による影響を受けながら、どの様に各細胞群が多様な神経核へと細分化されていくのか、細胞の移動や軸索伸長など形態の変化を、切り取られた狭い範囲だけでなく、脳原基・頭部全体範囲の中で観察をする。また組織が受ける力学的作用や多種多様な細胞が存在する生来の生理環境下に近い状態でありながらも、組織深部の細胞ライブ観察を可能にすることを念頭におく為に、頭部全体を輪切りにした三次元ライブ観察法を用い観察を目指す。それらの考慮した 視床下部原基における観察を確立した上で、なかでも体液の恒常性を司り、下垂体後葉へと投射する事が知られる室傍核(PVN)と視索上核(SON)などの領域に分かれて局在するバソプレシン産生(AVP)ニューロンの異種・近隣細胞群との関わりについて焦点を当て、細胞-細胞間の時空間的関係性を解明していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視床下部発生過程において、どの様に多種多様な神経核へとAVPニューロンが移動し、細分化されていくのか、「細胞の形態や挙動」に焦点を当て観察していく為、まずはじめに、AVPニューロンが生まれてくると予測される時期の妊娠マウスにEdU投与し誕生時期を確認した。 さらに、ニューロン移動が活発におこなわれると予測される胎生日の胎仔頭部を極小メスにて輪切りにした後培養をし、生来の組織で起こっている細胞分裂や移動がおこなわれているか、ライブ観察及び免疫組織染色法にて確認した。また、AVPニューロン細胞の標識及び遺伝子強制発現を行う為、室傍核・視索上核に局在するAVPニューロンが誕生する胎生期の視床下部原基へのin uteroエレクトロポレーション法を行なっている。 他にも、AVPニューロンの移動の分子機構を明らかにする候補遺伝子発現のタイミングや局在、欠損マウスを用いたAVPニューロンの変化も解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果をより確実なものにするため、引き続き視床下部等含む間脳と周辺組織の観察を「細胞の形態や挙動」に焦点を当て三次元的観察していく。 これらに加え、AVPニューロン細胞が正しい配置することに、どの様な意義があるのか、まず、胎生期におけるAVPニューロンの移動を減じる、または消失させる実験を行ない、出生後にどのような影響がでるかを明らかにする。次いで、生後の視床下部の神経核の領野形成全般に対してどのような影響があるか明らかにする。もし形態的変化が認められれば、同様に得た生後マウスにて視床下部―下垂体系に関わる内分泌ホルモンの変化について確認する。これと並行して、薬剤等の化学的な刺激を加え、ライブ観察下にある組織の中の細胞の挙動に何らかの変調が認められるか、リアルタイムで観察する。また、これまでの結果と合わせて、固定標本や細胞株等を用いたvitro系実験と組み合わせる事で、ターゲット組織と近隣細胞の正常発生過程における関わり合いを裏付ける。
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Causes of Carryover |
動物購入に関して当大学実験施設で繁殖させたマウスを多く使用する事できた。また顕微鏡の設備使用料等についても、予備実験及び準備を当研究室で大半を行ったあとに共同使用設備室で行う事で、当初予定していた額より大幅に節約する事が出来た。これら昨年度節約した予算を今年度以降に使用し、実験の精度を高める為、当初計画していたものよりさらに対象観察の数・条件を増やし実験を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)