2023 Fiscal Year Research-status Report
消化管ペプチドBetageninを標的とした膵島移植による糖尿病治療へ向けた検討
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23K08017
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
豊島 秀男 埼玉医科大学, 医学部, 客員准教授 (20197966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横尾 友隆 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (80400688)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は膵 β 細胞の増加およびインスリン分泌を促進する消化管ペプチドとして Betagenin を同定して解析を進めてきた。これまでに、Betagenin 遺伝子産物は切断され細胞外に分泌されること、その培養上清中の分泌物のアミノ酸配列に基づく Betagenin 合成ペプチドがヒト膵 β 細胞に対しても同様の活性を持つ事も確認してきた。これらの結果から Betagenin は膵 β 細胞の増殖・機能維持に関与し、糖尿病治療戦略の標的となり得ると考えた。 そこで本研究では膵 β 細胞の増殖促進作用に着目し、Betagenin が膵島移植時において膵島の生着率向上に寄与するか? について検討を進めた。まず、Betagenin が単離膵島において保護作用を発揮するかについて長期間培養を続けたところ、Betagenin 存在すると、膵島の形態は長期間維持されていることを確認した。今後は、インスリン分泌能などの膵島機能が維持されているかについても確認すると同時に、そのメカニズムについても検討する。 また、本年度は膵島移植実験の手技の習得に努めたが、来年度は実際にマウスに移植し検討を進める予定である。さらに、上記の Betagenin 添加の前培養が移植成績に効果があるかについての視点も含めて検討する。同時に、これらの作用は受容体を介するものと考えられたため、我々は Betagenin 受容体遺伝子を同定し今年度特許を取得した。前培養の検討時には、その受容体シグナルの知見を加味して進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、Betagenin が膵島に与える影響、特に保護作用についてマウス単離膵島を用いた検討を行い、アポトーシスに対する効果を確認出来た。また、膵島移植に関しては、予備実験を始めている。移植に使う Betagenin トランスジェニックマウス、ノックアウトマウスも繁殖し、実験に用いる匹数を確保できており概ね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和 6 年度はまず、野生型マウスに対し野生型マウスから単離した膵島を移植し、移植膵島の生着率やその後の増殖について検討を進める。さらに、野生型マウスの単離膵島を Betagenin トランスジェニックマウスに移植し、生体内に Betagenin が存在する時の膵島移植の成績や生着率との関連について解析する。 また、in vitro 実験では、培養時の膵島のコンディショニング維持または改善に対する Betagenin の効果を検討する。
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Causes of Carryover |
現在、本研究成果を含め、これまでの Betagenin 研究をまとめたものを英文雑誌に投稿している。最終的に係る掲載料が雑誌や円安の影響によりどうなるか分からないが、現在のレートで 50-70 万円と見込まれている。そのため、年度末ぎりぎりまで研究費をある程度残しておかざる得なかったために残額が生じた。 この残額は令和 6 年度のマウス飼育関連費などの消耗品購入に充当する予定である。
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