2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of benign/malignant differentiation method for thyroid follicular tumor using organoids
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23K08075
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
菅沼 伸康 横浜市立大学, 医学部, 講師 (40724927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 大輔 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 部長代理 (30571434)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 甲状腺濾胞性腫瘍 / 良悪性鑑別 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
甲状腺濾胞性腫瘍は、良性の濾胞性腫瘍と悪性の濾胞癌を合わせた総称であり、甲状腺結節の中でも頻度が高い腫瘍性病変である。両者は画像所見や病理学的所見が類似しているため、医療の技術革新が進んでいる今日においても、術前の良悪性の鑑別はいまだ確立されておらず、確定診断には手術検体で被膜浸潤や脈管侵襲を確認する必要がある。 近年では細胞診で得られた検体を用いて、甲状腺癌に関連する遺伝子変異や遺伝子発現、miRNAの発現を解析して良悪性の鑑別が試みられており一部は製品化されている。いずれも高い陰性的中率を示し、検査で陰性の場合には手術を省略できる可能性が高いものの、特異度と陽性的中率が低いため、その使用は限定的なものにとどまっている。 我々はSachs らが報告した方法 [Sachs, Cell, 2018]を基準として、甲状腺癌のオルガノイドに適した条件設定を行い、様々な甲状腺正常組織や腫瘍組織からこれまでに100例以上の症例で90%以上の確率で分化度を保った甲状腺オルガノイドの樹立に成功している。 本研究では、濾胞性腫瘍と濾胞癌の術前鑑別の可能性を、穿刺吸引細胞診検体由来のオルガノイドを用いて、ボイデンチャンバーアッセイ、内皮細胞透過性アッセイ、トランス内皮細胞浸潤アッセイの3つの浸潤遊走アッセイを行い、手術検体の病理診断と比較することで、悪性度の高い甲状腺濾胞癌を鑑別するために陽性的中率に特化した新たな診断法の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、甲状腺腫瘍に対する細胞診検体から作成した患者由来オルガノイド(Patient derived organoid; PDO)を用いて、ボイデンチャンバーアッセイ、内皮細胞透過性アッセイ、トランス内皮細胞浸潤アッセイの3つの浸潤遊走アッセイを行い、手術検体の病理診断と比較することで、有効な診断法が確立されていない甲状腺濾胞性腫瘍の新規診断法の開発を目指している。2023年度は、上記研究の基礎となる甲状腺濾胞腺腫(良性)と甲状腺濾胞癌(悪性)の PDO を、甲状腺濾胞性腫瘍の診断で手術を行った検体から複数作成することに成功した。また、これらの PDO を用いてボイデンチャンバーアッセイを行ったところ、一部の濾胞癌では膜を通過することが証明された。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き手術検体からPDOを作成して、複数の検体を用いての再現性を評価するとともに、内皮細胞透過性アッセイ、トランス内皮細胞浸潤アッセイについても順次行っていく方針である。また、最終目標である甲状腺穿刺吸引細胞診により得られた細胞からされたオルガノイドを用いた、上記3種類のボイデンチャンバーアッセイによる濾胞性腫瘍の術前診断の確立に向けて、細胞診からアッセイに必要な量のオルガノイドを作製することを試みる予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は作成したオルガノイド検体数が当初の予定より少なかったため、その他で計上した検体の運搬費用と作成に必要な物品費を節約できたが、今年度は昨年度よりオルガノイド検体数を多く作成する予定であるため、次年度使用額として計上した。
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