2023 Fiscal Year Research-status Report
膵がん再発機構の解析 -AIとシングルセル解析を用いた腫瘍間質相互作用の再活性化-
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23K08125
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
元井 冬彦 山形大学, 医学部, 教授 (30343057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二口 充 山形大学, 医学部, 教授 (60275120)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 膵癌 / 術前化学療法 / がん関連線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、膵がん細胞と腫瘍関連線維芽細胞(CAF)との相互作用を再活性化させる炎症細胞の同定および、再活性化に関わる分子メカニズムの同定を目的としている。切除可能膵がんにおいても、術前化学療法後の切除が標準治療として行われているが、切除後の再発は依然高頻度であり、切除検体を解析することで、再発に関与するメカニズムの一端を明らかにするべく研究を進めている。 術前化学療法後に膵切除を受けた症例で、早期再発症例(18ヶ月以内)と未再発症例を比較した。臨床経過としては、両者に画像的治療効果に明瞭な差は認めず、早期再発例で血清腫瘍マーカーがやや高値で遷延する傾向を認めた。術前化学療法後に血清腫瘍マーカーが正常化しない症例・低下しない症例では有意に予後不良であり、血清バイオマーカーによる治療効果判定・予後予測が有用な可能性が考えられた。 病理学的に検索では、再発例でアルシアンブルー染色陽性のImmatureな間質が多く、特に腫瘍辺縁部に多く局在している所見を認めた。一方、未再発例ではMatureな間質が多く、Immatureな間質はほとんど観察されず、臨床的再発及び腫瘍細胞とCAFの再活性化に関連している可能性があることが示唆された。Immatureな間質に存在するCAFではMatureな間質に存在するCAFに比べ、免疫染色でTenacin-C蛋白の発現が著しく低下しており、CAF表現形の違いが再活性化のメカニズムに関わっている可能性がある。 さらに空間解析によるMature, Immature間質における炎症細胞の同定・評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
術前化学療法後の膵がん検体は当初の想定どおり、早期再発例及び未再発例から採取することが可能であり、両者の間質が組織学的に差を認めることを明らかにすることが出来ている。本研究の主たる対象であるがん関連線維芽細胞(CAF)にも表現形の違いが存在することを捉えており、本年度以降の研究でその違いを明らかにしていくことが出来ると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
術前化学療法未施行の膵癌切除検体も加えて、AI(HALO)を用いた空間解析で、炎症細胞とCAFの局在を可視化し、前年度明らかにした間質の差異に注目しながら、膵がん細胞とCAFの再活性化、ひいては臨床的再発に繋がる炎症細胞の候補を同定するとともに、scRNA-seqを行ってmRNAを網羅的に解析する。臨床データを更に追加して、生存解析も同時進行で進め、臨床アウトカムの背景になる生物学的メカニズムの解析を行う。
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Causes of Carryover |
2023年度末に実施可能性があったため計上していたmRNA解析に使用する物品費等が、2024年度に実施することとなったため、次年度使用額として請求するため。
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[Journal Article] CA19-9 With Two-stage Resection Is Useful for Conversion Surgery in PDAC With Synchronous Oligometastases2023
Author(s)
Koetsu Inoue, Masamichi Mizuma, Fuyuhiko Motoi, Takashi Kokumai, Hideaki Sato, Akiko Kusaka, Shuichi Aoki, Masahiro Iseki, Daisuke Douchi, Takayuki Miura, Shimpei Maeda, Masaharu Ishida, Hideo Ohtsuka, Kei Nakagawa, Takashi Kamei, Michiaki Unno
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Journal Title
Anticancer Research
Volume: 43
Pages: 5223-5234
Peer Reviewed
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