2023 Fiscal Year Research-status Report
APOA2アイソフォームを用いた膵切除術後の新たな膵外分泌機能バイオマーカーの開発
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23K08141
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
松下 晃 日本医科大学, 医学部, 講師 (70449263)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 膵切除術後膵外分泌機能不全 / apoA2アイソフォーム |
Outline of Annual Research Achievements |
膵切除術後の非アルコール性脂肪肝(NAFLD)は近年多く認められるようになっているが、その病態については未だ不明な点が多い。膵頭十二指腸切除後のNAFLDの治療に関しては膵消化酵素剤の補充療法が有用であると報告されている。最近我々が開発したapoA2 isoforms(apoA2-i)、とapoA2-iの切断状態を定量分析するELISA検査を用いると、膵臓が正常に機能している状態であればapoA2-iの切断状態は、apoA2-ATQ/ATQ、ATQ/AT、AT/ATの3種のアイソフォームが全身の血液中をバランスよく循環するが、膵外分泌機能が低下するとapoA2-iの切断が抑制される。今回、我々は後方視的に膵切除術施行後の患者のapoA2-i測定を行いNAFLD発症、膵外分泌機能不全の関連を明らかにした。2022年7月より当院で膵切除術を施行した症例を対象とした。術後の血漿中ATQ/ATQ (重鎖) およびAT/AT (軽鎖)濃度をapoA2-i測定キット(東レ)を用いて測定した。NAFLDはCTにより診断した。膵切除術を施行した症例は42例でPD 26例、DP 16例であった。膵切除後NAFLD発症率は31.0 %(13/42)、PD後では46.2%(12/26)、DP後では6.3% (1/16)であった。術後AT/AT濃度の最低値をNAFLD発症群と非発症群で比較するとapoA2-AT/AT値6μg/ml以下ではNAFLD発症と有意に相関があった(P=0.04)。またNAFLD発症群においてAT値6μg/ml以上の症例では全例下痢を認め、NAFLD非発症群においてAT値6μg/ml以下のの症例では全例通常投与量かそれ以上の膵消化酵素剤の投与が行われていた。膵切除後にapoA2-iモニタリングを行うことによりNAFLD発症を予測することが可能になると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵切除症例は順調に増加しており、術後採血も順調に行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに症例数を増やし、解析検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究を進めていくと同時に今後学会発表を積極的に行っていく予定で次年度に助成金を使用する予定である。
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