2023 Fiscal Year Research-status Report
64Cu-ATSMにより標的選定したレドックス関連分子から探る大動脈瘤発生機序
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23K08228
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
田邉 佐和香 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (00401993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻川 哲也 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (30380033)
福井 伸哉 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (30469283)
今村 好章 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 准教授 (40223341)
岡沢 秀彦 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50360813)
糟野 健司 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (60455243)
高森 督 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (80397273)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 動脈瘤 |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈瘤の発症には、酸化ストレスの関与とマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の関与が知られている。しかし、酸化ストレスとMMPの分子的な因果関係は不明な点が多い。細胞内を還元環境に維持するレドックス制御因子ヌクレオレドキシン(NRX)は定常状態ではNADPHからH+の供給を受け還元型として存在しているが、過度の酸化ストレス下では酸化型に変化する。NRXの酸化は、β-カテニンの安定化因子であるディシェベルド(Dvl)との解離を引き起こし、転写因子であるβ-カテニンを活性化し、MMPsの発現を促進する。大動脈瘤切除術予定症例に術前検査(64Cu-ATSMPET MRI)を行い、64Cu-ATSM集積部位を正確にマーキングして術中に瘤壁を切除し、摘出標本を分割して集積部位を同定した。これらの部位は粥状硬化プラークが豊富で、酸化ストレスマーカー4HNEが陽性であった。64Cu-ATSM集積部位をさまざまな酸化ストレス関連因子で免疫染色を行ったところ、集積部では4HNE陽性粥状硬化プラークを取り囲むようにNRXが帯状に発現低下していた。NRXの発現低下部位に一致してβ-cateninが亢進しMMP-2、MMP-9が同部位に一致して亢進していた。同一切片上の二重染色にてNRX、β-catenin、MMP-2、MMP-9の発現を検討したところNRX、β-cateninは不一致(Pearson’s R=0.02)。β-cateninとMMP-2、MMP-9は共局在(Pearson’s R=0.79)していることがわかった。In vitroの実験では、ヒト血管平滑筋細胞において、H2O2が用量依存的にNRXの発現を低下させ、β-cateninの発現を上昇させることが示された。さらにNRXをノックダウンすると、Dvl、β-catenin、MMP-2、MMP-7、MMP-9が増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Apolipoprotein E (ApoE)-/-ノックアウトマウスにAngiotensin II持続注入ポンプを埋め込んで大動脈瘤を誘発するモ デルを作成する予定であったが、マウスに感染症が発生し全て犠牲死させ実験室を一度閉鎖せざるを得なかった。新たな実験室を用意してApoEノックアウトマウスを購入し直し、交配して増やしたのちAngiotensin II持続注入ポンプを埋め込んで大動脈瘤を誘発している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
Apolipoprotein E (ApoE)-/-ノックアウトマウスにAngiotensin II持続注入ポンプを埋め込んで大動脈瘤を誘発するモデルを作成する。ApoE-/-ノックアウトマウスにTXNを遺伝子導入したトランスジェニックマウスTg(TXN)を掛け合わせたApoE-/-Tg(TXN)F1マウスにも同様の操作を行い、TXN遺伝子導入によって大動脈瘤の形成が抑制されるか観察する。摘出した大動脈壁を病理学的及び粥状プラーク周辺部をレーザーマイクロダイセクションで切り出して分子生物学的に大動脈瘤の瘤径と大動脈壁の性状、ADAM17、MMP-2、MMP-7、MMP-9、OPG、OPNの発現を調べる。
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Causes of Carryover |
動物実験が、マウスの感染症のために一時中断せざるを得なかったため。 実験用の試薬や、マウス購入費、飼育費に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)