2023 Fiscal Year Research-status Report
虚血心筋標的ペプチドを用いたアンチセンス医薬による心筋保護治療の開発
Project/Area Number |
23K08283
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
神吉 佐智子 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (40411350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斯波 真理子 大阪医科薬科大学, 医学部, 特別職務担当教員(教授) (70271575)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 心筋保護治療 / 組織標的ペプチド / アンチセンス医薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
虚血性心不全による死亡率を改善するためには、虚血傷害を受けた組織の機能維持と回復を促進する新たな心筋保護法の開発が必要である。現在、最も注目されている心筋保護法のひとつに、サイトカイン複合体と結合して虚血傷害を悪化させるS100A8/A9の活性抑制がある。しかし、S100A8/A9には虚血傷害のタンパク性の増悪因子としての負の側面と共に、好中球や単球の遊走の調節や創傷治癒の促進という正の役割も担っているために、全身レベルでの抑制は行えず、虚血傷害部位に限定された発現制御法の開発が必要であった。我々は、すでにファージディスプレイ法を用いて、虚血心筋組織に特異的に集積するペプチド(Ischemic Myocardium Targeting Peptide: IMTP)を見出している。これは、虚血心筋組織を標的としたドラッグデリバリーシステムのキャリアーとしての性質を備えている。本研究では、IMTPペプチドにアンチセンス核酸に結合させることで、S100A8/A9の発現を虚血心筋特異的に抑制する技術を開発する。これを用いて、全身投与可能な虚血心筋保護治療薬の創薬を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID19感染蔓延防止のために前年度までの研究の進捗が送れており、本研究もその影響を受けているため。
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Strategy for Future Research Activity |
S100A8/A9複合体タンパク質発現を抑制するアンチセンス核酸の設計:S100A8とS100A9に対してそれぞれ20種類程度のアンチセンス配列を決定し、架橋型人工核酸(LNA修飾)を作成する。作成したアンチセンスについて、分担者 斯波の核酸医薬開発のスクリーニングの際に実績のあるCa2+-enriched medium(CEM)法を用いて、配列の選択を行う。選出したAnti-S100A8/A9のアジド化体に、アセチレン化したIMTPペプチドを室温、銅触媒下にクリック・ケミストリー反応で結合させAnti-S100A8/A9-IMTPを作成する。
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Causes of Carryover |
COVID19蔓延防止措置に関わる臨床と教育業務により前年度の研究の進捗が送れ、本研究の実験が滞ったため。今後、計画に沿って受容体候補タンパク質をスクリーニングする。
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