2023 Fiscal Year Research-status Report
bFGF徐放ゼラチンシートを用いた新しい気管支断端補強剤の開発
Project/Area Number |
23K08297
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松浦 奈都美 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (20572853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 直哉 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (10636492)
矢島 俊樹 香川大学, 医学部, 教授 (20346852)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | bFGF徐放ゼラチンシート / 肺葉切除術 / ハイブリッドビーグル |
Outline of Annual Research Achievements |
手術適応の拡大に伴い、今後ますます高リスク患者への手術は増加していくことが予想される。一方、気管支断端瘻は最も重篤な術後合併症として重要視されてきたにも関わらず、断端の創傷治癒を促進させる補強材などは未だ開発されていない。我々はこれまでbFGF徐放ゼラチンビーズやシートを用いて再生医療に取り組んできた。特に、bFGF徐放ゼラチンシートを肺表面に貼付することで毛細血管新生を誘導し、肺の単位面積あたりの血管密度が上昇したことから、気管支断端に補強材として用いることで同様にサイトカインをデリバリーできると考えた。これまで主に使用してきたサイトカイン(bFGF/BMP)はフィブラストスプレーとしてすでに臨床応用されており、人体への安全性は比較的担保されている。また、ゼラチンに関しても生体材料としてすでに人体への安全性は確認されていることから、本方法は臨床応用に直結する。 本年度はまずゼラチンシートの作成を行った。具体的には、等電点5.0の酸性ゼラチンを超純水中に溶解させ、5 wt%水溶液を作成する。0.1%グルタルアルデヒドを添加してバランスディッシュへ流し込み、4℃で12時間架橋反応を行う。37℃で1時間洗浄してグルタルアルデヒドを除去した後に、凍結乾燥させる。使用直前にbFGF溶液を含浸させるため、作成したゼラチンシートは30×30×1mmにカットする。 さらに予備実験として、ハイブリッドビーグルに開胸右中下葉切除と副葉切除を施行し、気管支断端にゼラチンシートを縫着できることを確認した。術後に大きな合併症がなく生存可能であることも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
人事異動に伴う研究協力者の変更や他業務の圧迫によってやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ゼラチンシートの作成と予備実験を終了したため、今年度はゼラチンシート群・傍心膜脂肪織群・コントロール群をそれぞれ作成する。ハイブリッドビーグルに手術3週間前から0.5mg/kg/日の水溶性プレドニンを筋注し、創傷治癒遅延モデルを作成する。全身麻酔下に右開胸を行い、右中後葉+副葉を切除する。気管支は上葉枝分岐後にメスで切離し、4-0PDSⅡで縫合閉鎖する(ゼラチンシート縫着または傍心膜脂肪織縫着または補強なし)。リークテストで断端からエアリークのないことを確認し、洗浄止血後に閉胸する。術後も0.5mg/kg/日の水溶性プレドニンの筋注を継続し、術後2週間目に犠死させ、気管支断端を摘出して病理学的評価(HEとvon Willebrand factor染色)を行い血管数と浸潤した線維芽細胞を測定する。
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Causes of Carryover |
研究推進にやや遅れが生じているため、ハイブリッドビーグルを購入する金額が次年度に繰り越しとなった。
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