2023 Fiscal Year Research-status Report
ヘモグロビン-アルブミン-クラスターによる移植気管・気管支吻合部、移植肺の再灌流
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23K08302
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
河野 光智 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10276272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽藤 泰 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (10365281)
小松 晃之 中央大学, 理工学部, 教授 (30298187)
青木 耕平 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90648693)
福田 祐樹 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (80383264)
井上 慶明 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (80720763)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 人工赤血球 / 出血性ショック |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットの出血性ショックモデルで(ヘモグロビン‐アルブミン)クラスター(ヘモアクトHb-HSA3)溶液を投与することで蘇生を行った。Hb-HSA3群と返血群では6時間後まで全例が生存したのに対し、乳酸リンゲル液RL群は4時間以内に全例が死亡した。平均動脈血圧はHb-HSA3溶液投与により初期値まで回復した。肝機能への影響が一時的であることを証明するためにHb-HSA溶液投与による蘇生7日後まで観察した。一般状態に異常は認められず、全例が生存した。AST、ALT値は初期値と同程度まで低下した。実験終了後に主要臓器を摘出し、病理検査を行ったところ、形態変化は認められなかった。臓器への影響は一次的であることがわかった。以上の結果より、Hb-HSA3の赤血球代替物としての有効性が実証された。 イヌ自家肺葉移植を行い、同時に出血性ショックを生じさせ、その後の呼吸循環動態を解析するモデルを作成した。体重10㎏のビーグル犬に人工呼吸器管理下に手術を行う。右大腿動脈ラインで血圧を持続的に計測し、右大腿静脈からはスワンガンツカテーテルを挿入し心拍出量を計測する。肋間開胸して左肺全摘術を行う。同時に循環血液量の30%(250ml)の血液を動脈ラインから脱血し、その後輸液行う。摘出した肺の上葉部分は切除し、下葉気管支を主気管支に、下肺静脈カフを上肺静脈根部の左房に、下葉肺動脈を主肺動脈にそれぞれ吻合して左肺下葉を自家移植する。左肺全摘及び30%脱血後に平均血圧は加刀前の25%までに低下し、ショック状態となった。その後の5%アルブミンの等量投与で血圧は上昇するが、グラフト再灌流開始直後から5時間後までの観察で、平均血圧は加刀前の65%までの回復に留まった。一方、心拍出量は脱血により加刀前の35%まで低下したが、輸液及びグラフト再灌流後は加刀前と同等の値を5時間後まで維持した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イヌ自家肺葉移植モデルの作成は一度摘出した左肺のうち、下葉のみを移植するもので肺静脈、左房の切りしろ、縫いしろが短いため困難が予想されたが、工夫により克服できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、人工赤血球ヘモアクトをイヌ自家肺葉移植モデルに適応し、呼吸循環動態の詳細な解析を行って、投与の有効性と安全性を検討する計画である。5%アルブミン投与をコントロール群として、血圧や心拍出量、血液ガスデータなどの呼吸循環動態の測定値を比較する。
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Causes of Carryover |
動物実験に使用している人工呼吸器が故障したため、予定していた実験が出来ないことがあり、消耗品や薬品の使用料が予定より減少した。2024年度にその分を補う実験計画を立てており、消耗品、薬品などの購入に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)