2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K08321
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
藻利 優 愛媛大学, 医学系研究科, 医員 (10972581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 倫久 愛媛大学, 医学系研究科, 講師(特定教員) (20709266)
佐野 由文 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (60322228)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 胸腔内癒着 / 呼吸器外科手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
呼吸器外科手術において再手術時に認められる肺組織とその周囲組織との癒着は、両組織の癒着を剥離する必要があるため、手術時間の延長などによる感染症や出血のリスクを伴う。しかし、その癒着メカニズムはほとんど分かっておらず、モデル動物などを用いた癒着機序解明が求められている。本年度は、ヒト臨床で認められる肺とその周辺組織との癒着病態を再現できる動物モデルの樹立及び最適化を進めた。今回の解析対象としてB6マウスを用いた。全身麻酔下にて当該マウスに対して癒着誘導剤を胸腔内に注入した。その2週間後、再び麻酔下で肺組織を観察したところ、肺とその周囲組織との強固な癒着が観察された。得られた組織に対して病理組織標本を作製し、ヘマトキシリン&エオジン染色やマッソントリクローム染色などの特殊染色を用いた組織学的解析を行った。その結果、本モデルマウスにおける肺組織は、本来は離れて局在する周辺組織との間に強固なコラーゲン線維を介した癒着が形成されており、ヒト病態を再現できる最適な病態モデルであることがわかった。また、周囲組織からの血管新生も認められており、癒着形成への関与も示唆された。現在はその癒着形成機序を突き止めるために、経時的な病態変化を組織レベルと分子レベルの両面から解析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胸腔内癒着モデルマウスの樹立に関して、癒着誘導剤の選定や癒着誘導のためのdose検証により、更なるモデルマウスの最適化を図った。また、トランスクリプトミクスを用いた分子レベルや細胞レベルでの解析も進めており、今年度遂行する予定であった実験は順調に実施できており、研究の進捗は良好である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、肺組織と周囲組織との癒着形成を司るコラーゲン産生細胞の経時的局在変化をより詳しく解析する。さらに、遺伝子改変マウスを用いて解析することで肺の癒着形成過程における分子や細胞の役割を明らかにする予定としている。
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Causes of Carryover |
本研究を更に充実したものにするため、NGS依頼や抗体などの免疫染色にかかる物品の購入が必要である。
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