2023 Fiscal Year Research-status Report
高度肥満患者およびるい痩患者におけるフェンタニルの血中・効果部位濃度予測
Project/Area Number |
23K08337
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小原 伸樹 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (00443854)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | フェンタニル / 全身麻酔 / 薬物動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年肥満患者やフレイル高齢者の全身麻酔下手術が増加しており、全身麻酔や術後鎮痛に広く用いられる鎮痛薬フェンタニルについて、肥満や高齢者では薬物動態の変化により適切な投与量が異なることを背景としている。 本研究では、高度肥満成人とるい痩患者を対象にフェンタニルの血中濃度を経時的に測定し、それに基づいた血中濃度予測モデルを作成することを目指し、既存モデルとの比較を通じて予測精度の向上を図るのを目的としている。新しいモデルにより、従来モデルでカバーできなかった患者群の血中濃度をより正確に予測できるようになる可能性がある。これにより、全身麻酔時のフェンタニル投与がより安全かつ効果的に行えるようになることが期待される。 研究計画として、第一段階は40人から採血を行ってフェンタニル血中濃度予測モデル作成を行い、第二段階では20人の患者から採血を行って前述のモデルの予測濃度を検証する予定であった。 これまでに、研究対象となる患者(るい痩および高度肥満)5例の患者から、実際に採血を行った。これにより、研究計画通りの手順で、実際に採血を問題なく行い得ることを確認できている。 血液サンプルは外部機関に送付して、経時的なフェンタニル血中濃度推移の生データを得ている。Visual inspectionの限りでは、薬理学的に妥当なフェンタニル血中濃度推移を示していることから、現在の研究計画のまま、研究を続行可能と考えている。また、解析環境はすでに構築している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の臨床的見地からの改善および研究体制の構築のため、実際に患者から採血を行えるようになったのは年度の後半であった。しかし、開始以降はおおむね順調に患者をリクルートできている。 以上より、(2)概ね順調に進捗しているといえる
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度、および2025年度中に、当初予定した患者症例数を確保可能と推定している。 目標症例数(第一段階40人)を終えた時点で、フェンタニル血中濃度予測モデル構築を直ちに開始できるよう、解析環境はすでに構築している。
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Causes of Carryover |
理由として、研究計画の改善と、研究体制の構築のために時間を要し、患者から採血を開始できたのが年度の後半であったことが挙げられる。これにより今年度使用した、血中濃度測定に関する予算が予定より少なかった。 現在のペースで対象患者をリクルートした場合、次年度には使用可能であると考える。
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