2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of drug therapy targeting ferroptosis, iron-dependent cell death for acute respiratory distress syndrome.
Project/Area Number |
23K08360
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 裕子 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (80423284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森松 博史 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30379797)
中村 龍 岡山大学, 大学病院, 助教 (40886321)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 急性肺傷害 / 酸化ストレス / フェロトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、鉄を内包するヘムを分解する律速酵素 ヘムオキシゲナーゼ-1およびその代謝産物が、酸化ストレスや炎症促進シグナルを抑制し、出血性ショック蘇生(HSR)後の組織傷害を改善することを示してしてきた。しかし、HSR後肺傷害に対する薬物療法は未だ確立されていない。 フェロトーシスは、鉄依存性細胞死で、酸化ストレスによる臓器傷害の病態に関わっており、新たな治療ターゲットして注目されている機構である。 申請者らは、出血性ショック蘇生後急性肺傷害(HSR/ALI)の病態には自然免疫経路インフラマソーム活性化やアポトーシスが関与しており、抗炎症作用や抗アポトーシス作用を持つ薬剤投与により急性肺傷害が改善することを報告してきたが、肺傷害を完全には制御できていないのが現状である。そこで、多くの酸化ストレス関連疾患にフェロトーシスが関与していることに注目し、本研究ではHSR/ALIの病態にフェロトーシスが関与することを証明し、フェロトーシス抑制によるHSR/ALIの新たな治療法の確立を目的とする。本研究の目的は、HSR/ALIの病態におけるフェロトーシスの役割を解明し、ドラッグリポジショニングの手法を利用して抗炎症作用・抗フェロトーシス作用を介した肺傷害に対する治療法を確立することである。 2023年度は雄性Sprague-Dawley ラットを用いHSR/ALIモデルを作成し、肺傷害の病態に炎症性サイトカイン、アポトーシスが関与しいていること、肺におけるフェロトーシスの程度を組織学的に検討した。次に、ラットHSR/ALIモデルに対し、βブロッカー投与を安全に投与可能であることを証明し、炎症性サイトカインやアポトーシスを軽減し肺保護的に作用することを確認し、さらにフェロトーシスが肺保護に関与するかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットHSR/ALIモデルにおける肺傷害に対するフェロトーシスの関与の証明を、組織学的検討と生化学的検討で行う予定であったが、生化学的検討(Western blotなど)をまだ実施途中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に引き続き、HSR後肺傷害の病態におけるフェロトーシスの役割を解明する。 雄性Sprague-Dawley ラットを用いHSR/ALIモデルを作成し、まず肺傷害に対するフェロトーシスの関与を確認2023年度に引き続き検討する。 ①肺傷害は、肺水腫の指標Wet/Dry weight比、 肺胞気管支洗浄液(BAL)中タンパク濃度、HE染色による組織所見で、②肺のフェロトーシスは Ptgs2、Hepcidin、SCL7A11、GPX4の遺伝子・蛋白発現の程度と肺の鉄染色により、③炎症の指標として、BAL中・肺のサイトカインtumor necrosis factor-α(TNF-α)、inducible nitric oxide synthase (iNOS)、IL-1βの遺伝子・蛋白発現を測定、④肺の酸化ストレスは8-hydroxy-20’-deoxyguanosine (8-OHdG)、マロンジアルデヒド (MDA)、 Superoxide Dismutase (SOD)により、⑤肺のアポトーシスは TUNEL法, Caspase-3 タンパク発現で評価する。以上より、HSR後肺傷害の病態にフェロトーシスが関与をすることを証明する。 さらに、HSR/ALIモデルにドラッグリポジショニングの手法を用い、βブロッカーを投与し、肺傷害軽減にフェロトーシスが関与しているかどうかを引き続き検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度に予定していた、ラット出血性ショック蘇生後肺傷害における、肺でのフェロトーシスの関与を検討するための生化学的検討(Western blotやRT-PCRなど)が、出来なかったため、充当する予定の助成金が次年度に繰り越しになりました。 次年度は、当該年度予定していたフェロトーシスの生化学的検討を進めるとともに、次年度予定しているラット出血性ショックモデルに抗酸化作用、抗炎症作用を持つβブロッカー投与したときの、肺保護作用の有無とフェロトーシス動態を検討する予定である。
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Research Products
(2 results)