2023 Fiscal Year Research-status Report
辺縁系脳領域に着目した痛覚変調性疼痛に特異的な神経基盤の解明
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23K08367
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
黒崎 弘倫 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10584774)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 痛覚変調性疼痛 / 機能的結合 / 腹側内側前頭前野 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、安静時fMRIを用いて、痛覚変調性疼痛である線維筋痛症/CRPS I型に共通な機能的結合変化を明らかにし、さらに、症状と安静時機能的結合との関係を示すことである。令和5年度は、主に健常成人をリクルートし、MRI撮影を行った。並行してペインクリニック外来で線維筋痛症患者をリクルートしたが、被験者で承諾が得られたのは11人にとどまった。疾患群の被験者に対しては、疼痛の尺度評価とHADS、破局化傾向(PCS)の聴取を行った。 リクルートされた健常者、患者にMRI撮像を行った。MATLAB(r)上で起動させたConn.ver22を用いて解析を行った。MRI信号に対して前処理(preprocessing)、ノイズ除去を行った。MRIデータの質を検討するために、Framewise Displacementを算出した。Brainnetomeの2mmアトラスに基づいた関心領域(ROI)を作成した。 先行研究から、大うつ病の反芻症状に関連する領域が腹側内側前頭前野と21領域の機能的結合が報告されていた。 本研究では、大うつ病の報告を参考に、腹側内側前頭前野と21領域の機能的結合を算出し、それとPCSの反芻症状のスコアとの相関性を調査した。解析には一般線形化モデルを用いた。相関解析の際には、年齢、性別、疾患の罹病期間の影響を調整した。結果としては、腹側内側前頭前野と左前頭葉との機能的結合と反芻スコアに負の相関が認められた(p < 0.001, uncorrected)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常人のリクルートと疼痛患者(痛覚変調性疼痛患者)のリクルートは順調である。特に疼痛患者のリクルートの目標を40名としているため、症例は不足しているが次年度以降に調査する。 MRIデータの解析は、順調に進行している。 次年度以降で疼痛患者の症例が増加するに伴い、解析中の結果が変動する可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
全脳の関心領域(ROI)の設定にはBrainnetomeの2mmアトラスを今後も用いる。令和6年度は、痛覚変調性疼痛患者のデータを用いつつ、過去に撮像した経験のあるデータ(健常人、神経障害性疼痛患者)との比較を行う予定である。 ・健常成人 対 神経障害性疼痛(自験例の経験があるため、PHNとする) ・健常成人 対 痛覚変調性疼痛(線維筋痛症、CRPS I型) ・神経障害性疼痛 対 痛覚変調性疼痛 上記に対して解析し、比較する予定である。
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Causes of Carryover |
令和5年度には健常人、疾患群をリクルートできた人数が少なかったため、MRI撮像に要した金額が少なかった。次年度に使用することとする。
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