2023 Fiscal Year Research-status Report
late Na+電流に着目した、麻酔薬の病態心における抗不整脈作用に関わる分子基盤の解明
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23K08379
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
福島 豊 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (10422891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 裕利 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50252391)
小嶋 亜希子 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50447877)
松浦 博 滋賀医科大学, 医学部, 理事 (60238962)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | LQT / Nav1.5チャネル / late Na+ current / 麻酔 / 揮発性麻酔薬 / セボフルラン / プロポフォール |
Outline of Annual Research Achievements |
膜電位依存性ナトリウムチャネルであるNav1.5チャネルは、主に心筋に発現しており、その活動電位第0相に関与する。Nav1.5チャネルは急速な活性化とそれに引き続く速やかな不活性化が特徴である。不活性化中もピークのNa+電流に比べてごくわずかではあるがNa+電流が存在し、これをlate Na+電流という。先天性QT延長症候群3型(LQT3)や虚血性心疾患、心房細動、肥大型心筋症などの病態心においても、late Na+電流の増大が認められる。 本研究課題では、late Na+電流が増大した病態心において、麻酔薬がlate Na+電流およびその調節機構に対しどのような作用を及ぼすかを明らかにすることを目的とする。 2023年度は、LQT3の原因遺伝子として報告のあるSCN5A-N1774Dを用いて作成された変異Nav1.5(Nav1.5-N1774D)チャネルと野生型Nav1.5チャネルを、リポフェクタミン法を用いてHEK293細胞に発現させ、late Na+ currentに対するセボフルランの効果とプロポフォールの効果とを検討した。 Nav1.5-N1774Dチャネルでは、野生型Nav1.5チャネルに比べてlate Na+ currentが増大した。4%のセボフルランは野生型及びNav1.5-N1774Dチャネルのピーク電流にはほとんど抑制作用を示さなかったが、Nav1.5-N1774Dチャネルのlate Na+ currentを有意に抑制した。一方、3μMのプロポフォールはNav1.5-N1774Dチャネルのピーク電流、late Na+ currentともにほとん影響を与えなかった。 これらの結果より、LQT3の原因遺伝子であるSCN5A-N1774Dによって増大するlate Na+ currentはセボフルランにより抑制されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
late Na+ currentはNav1.5チャネルのピーク電流に比べてわずかな電流である。このわずかな電流であるlate Na+ currentに対する薬剤の効果を検討することが難しく、時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
Nav1.5-N1774Dチャネルの活性化、不活性化の膜電位依存性に対するセボフルランの作用をさらに検討する予定である。また、ヒト心室筋のシミュレーションモデルであるO’Hara-Rudy dynamicモデルを用いて、実験で得られたNav1.5-N1774Dチャネルのlate Na+ currentの増大率および麻酔薬による抑制率を組み込んで、活動電位をシミュレーションし、Nav1.5-N1774Dチャネルの活動電位持続時間(APD)に対するセボフルランの効果を検討する予定である。 その後、マウスの心室筋細胞を用いて、ATX-IIやH2O2などのlate Na+ currentを増大させる薬剤によって増大させたlate Na+ currentに対するセボフルランの効果の検討や、TAC手術により作成した心肥大・心不全モデルを用いた実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
すでに教室にある薬剤や物品を使用した実験を行うことが多かったため、当該年度の使用金額が少なくて済んだ。来年度以降に、当該年度の残金と合わせて、新しく薬剤や物品を購入し、実験を行う予定である。
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Research Products
(2 results)