2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K08386
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 智恵 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70843530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 裕介 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40721759)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 六君子湯 / 心臓虚血再灌流傷害 / Sirtuin1 / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓虚血再灌流傷害 (ischemia reperfusion injury:IRI) は心筋梗塞後の心不全を引き起こす病態であり, その治療は未だ困難である. 六君子湯は腸管運動を亢進させたりグレリン分泌を促進する作用を発揮する漢方薬であり,それらの作用に加えて,抗炎症作用により臓器傷害を軽減することが報告されている. しかしながら六君子湯が心臓 IRIに対して心保護効果を発揮するか否かについてはこれまでに検討されていない. 本研究では, 六君子湯投与により抗炎症作用が発揮され, 心臓 IRI が軽減されるかどうかを検討する. 我々はまずC57BL/6マウスに1000mg/kg/dayの六君子湯(六君子湯群)または水(コントロール群)を14日間経口投与し,15日目にIRIモデル作成手術を行った.虚血時間30分,再灌流時間を2時間とし,再灌流終了時に心筋梗塞サイズを測定した.心筋梗塞サイズは両群で有意差は認めなかった.ELISAにて血中グレリン濃度の測定を行ったが,グレリン濃度の上昇は認めなかった.先行文献 (J Cardiol. 2020) ではグレリン濃度の上昇はなかったがSirt1を介して抗炎症作用を発揮する可能性があると報告されており,本研究でも虚血心筋におけるSirt1のmRNA発現量をPCRにて測定した.Sirt1のmRNA発現量に両群で有意差は認めなかった.しかしSirt1は核内移行することで脱アセチル化作用により転写因子の機能を調整することが知られている.そのため細胞全体としては差がなかった可能性もある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス心臓虚血再灌流傷害モデルを作成するための気管挿管手技および手術手技を習得することに多くの時間が必要であり,実験の進捗はやや遅れてしまった.またPCR手技を習得するためにも時間を要し,実験の進捗に影響した.
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Strategy for Future Research Activity |
六君子湯投与が心筋梗塞サイズに影響を及ぼさなかったことから,六君子湯14日間の経口投与では臓器保護効果が弱い可能性がある.臓器保護効果に至らないまでも抗炎症作用があれば生体には有益と考えられるため,今後は抗炎症作用を炎症性サイトカインの増加減少を捉えて検証していきたい.
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Causes of Carryover |
モデルマウスの作成手技確立に時間を要したため研究に必要な試薬の購入が遅れてしまった.次年度にはPCR用の試薬やウェスタンブロッティングに必要な抗体などを揃えるために費用を使用していきたい.
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