2023 Fiscal Year Research-status Report
HCN4をターゲットとした新たな心房細動の治療戦略の開発
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23K08395
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
大下 健輔 久留米大学, 医学部, 講師 (70529510)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 心房細動 / HCN4 |
Outline of Annual Research Achievements |
心房細動(Af)は周術期にしばしば合併し、入院期間、周術期死亡率を有意に上昇させる。近年ゲノムワイド関連研究で一塩基多型(SNP)を網羅的に調べる研究が行われ、ペースメーカーチャネルHCN4がAf感受性遺伝子の一つであり、HCN4遺伝子座のSNPはHCN4の発現量を低下させることが明らかとなった。 そこでHCN4遺伝子座の一方のアレルにルシフェラーゼ(Luc)cDNAを、他方のアレルにテトラサイクリン遺伝子スイッチ(tTA_TRE)をノックインしたHCN4Luc/tTA_TREマウスを作成し、ドキシサイクリン(DOX)投与によるHCN4ノックダウンが可逆的に起こせるマウスを作成した。このHCN4コンディショナルノックダウンがAf誘発性を変化させるか、さらに心房筋においてどのような電気生理学的リモデリングが生じているのかを調査した。 HCN4Luc/tTA_TREマウスのDOX投与開始前(CTR)、投与後の1,2,5週後(DOX1,DOX2,DOX5) に全身麻酔下(セボフルラン3%)で経食道ペーシングカテーテルによる心房高頻度電気刺激(100ヘルツ、20秒間)を行うことでAfを誘発し、その持続時間を比較した。さらにDOXを中止後にAf誘発性が改善するかを確認した。CTR、DOX1、DOX2、DOX5の高頻度心房ペーシング誘発Afの持続時間、CTRに比べてDOX5でAf持続時間が有意に延長していることが明らかとなった。更にDOX投与を中止し、HCN4の発現量がCTRまで回復するにつれて、Af持続時間も短縮した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HCN4コンディショナルノックダウンにおける心房細動誘発性の変化を明らかにすることができており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はHCN4ノックダウンによる心房細動誘発性の上昇の原因を網羅的遺伝子発現や電気生理学的に明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
現状、すでに研究室内で繁殖している遺伝式改変マウスで研究成果を見出すことができており、新規の遺伝子改変マウス作成費用が節約できたため。
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