2023 Fiscal Year Research-status Report
オピオイド感受性測定に基づく麻酔管理による術後鎮痛の最適化
Project/Area Number |
23K08409
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 隆治 広島大学, 病院(医), 講師 (70423366)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 昇 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (30325170)
神谷 諭史 広島大学, 病院(医), 助教 (80816348)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Keywords | オピオイド感受性 / 血管剛性値 / 麻酔 / 交感神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
発性痛覚過敏や急性オピオイド耐性を引き起こすことが知られている。これらの現象は、術後鎮痛でのオピオイド必要量を増し、鎮痛の質を低下させるため、術後回復に悪影響を与える。もし、術前に患者のオピオイド感受性が分かれば、過剰なレミフェンタニル投与を避けることができ、これは術後のオピオイド誘発性痛覚過敏や急性オピオイド耐性の発生を回避することにつながる。 本研究は、オピオイド感受性を定量的に評価する手法を提案している。我々の研究グループは、“MECK”がオピオイド感受性の定量的な指標であることを報告している。オピオイド感受性が測定できることは、①感受性に応じたオピオイド投与を行うことでオピオイド感受性異常を回避することと、②オピオイド感受性異常を早期発見し、鎮痛方法を変更すること、の二つの面で術後鎮痛の質を改善し、術後の早期回復を促進する。 2023年度は後方視的にデータの収集を行うことで、術中のレミフェンタニル投与量と術前後でのMECKの変化を定量化し、両者に線形の相関があることを明らかにした。 このことは、術前のMECKと術中のレミフェンタニル投与量から術後のMECKを推定する式が作成可能であることを示している。術後のMECKの上昇は急性オピオイド耐性やオピオイド誘発性痛覚過敏の成立を示唆する所見であり、術後のMECKを術中にコントロールできる因子を用いて予測することができれば、術後のMECKの上昇を抑制する麻酔管理方法が確立できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の研究計画では、2024年度までに臨床での測定を行い、術中のレミフェンタニル投与量と術前後でのMECKの変化を定量化することを目標としていた。2023年度は後方視的ではあるが、予定通り術中のレミフェンタニル投与量と術前後でのMECKの変化を定量化し、両者に線形の相関があることを明らかにできた。この結果から、術前のMECKと術中のレミフェンタニル投与量から術後のMECKを推定する式が作成可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度には、2023年度に得られた結果を踏まえ、さらなる臨床データの蓄積を目指す。この測定結果をもとに、術後の急性オピオイド耐性を意味するMECKの上昇を誘発しない術中レミフェンタニル投与量を推定する手法を確立する。 2025~2027年度には上記の手法の確認試験を行う。実際に上記の手法によりレミフェンタニル投与量を制御した場合にMECKの変化が起こらないことを確認する。さらにはMECKの変化が起こっていない場合と変化が起こった場合での術後のモルヒネ使用量の違いを比較する。
|