2023 Fiscal Year Research-status Report
Therapeutic strategies for sepsis-associated mental disorders focusing on T cells and neurogenesis in the brain.
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23K08459
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
齋藤 雅史 帝京大学, 医学部, 助教 (80826321)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 敗血症 / うつ / ミクログリア / CD4+T細胞 / IL-4 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ様行動が回復した敗血症マウスの脳についてRNA-seqを行い、データの解析を進めた。その結果、対照として設定したHealthyマウスと敗血症誘導から30日目でうつ様行動が回復した敗血症マウスでは、Differentially Expressed Genes(DEG)がほとんど検出できなかった。同様に、CD8+T細胞を欠損させた敗血症マウス(αCD8敗血症マウス)においても、敗血症誘導から30日目にはうつ様行動が回復していた。その一方で、IL-4の産生源として推測したCD4+T細胞を欠損させた敗血症マウス(αCD4敗血症マウス)では、Brain Derived Neurotrophic Factor(BDNF)の顕著な減少を認めた。この結果はreal-time PCRによっても確認でき、また、mRNAレベルでのIL-4の減少も確認することができた。 これらの結果は、敗血症後のうつ様症状の回復にCD4+T細胞が関与していることを強く支持するものであり、CD4+T細胞由来のIL-4が関与することでBDNFの産生が促されることを示唆している。うつ患者において脳中や血中のBDNFが減少していることは周知の事実であるほか、トリプトファン代謝がうつの病態に関与することが知られていることから、今後はこの経路における遺伝子発現パターンを解析する予定である。 さらに、脳に増加するCD4+T細胞がどこから浸潤してきたかを明らかにするため、敗血症誘導後における頸部リンパ節のT細胞動態、およびサイトカインの解析を行なった。その結果、同リンパ節におけるC-X-C motif chemokine receptor 3 (CXCR3)陽性のCD4+T細胞の増加を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RNA-seqの解析において、R言語やPhythonなどを用いた解析手法の習得に時間がかかっているため、当初の予定よりは遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-seqの解析におけるバイオインフォマティクスの基本的な知識や手法は習得しつつあり、ビッグデータにおけるサンプルの特徴の抽出やgene ontology解析、pathway解析などが解析できるようになった。うつの増悪にはトリプトファン代謝のうちのKynurenine pathwayが関与する。よって、今後はこの経路をバイオインフォマティクスを用いて解析するのに加えて、western blotや免疫染色を行い、タンパクレベルでの議論を展開したいと考えている。また、ミクログリアの培養細胞株や初代培養系の確立し、敗血症後のミクログリアとIL-4の直接的な影響を解析したいと考えている。
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Causes of Carryover |
契約満了により異動に伴う研究の空白期間が生じたためと、予定していた学会へ参加することができなかったために未使用額が生じた。 研究をより多くの人に知ってもらうため、来年度は集中治療学会や救急治療学会などへの学会参加を検討すること、また解析用の抗体や培養器具などの消耗品に使用する予定である。
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