2023 Fiscal Year Research-status Report
AMPA受容体をターゲットとしたグリオーマの創薬基盤
Project/Area Number |
23K08553
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
李 強 関西医科大学, 医学部, 助教 (40819330)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 美樹夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (10368251)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | グリオーマ / AMPA受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性グリオーマの膠芽腫は、治療後に多くの割合で再発し、平均余命は約1年である。ここ30年間、生存期間がほとんど延長しておらず、根治療法の確立にはさらなる病態の解明が必要である。最近、がんの再発や転移の原因としてがん幹細胞の存在が注目されている。グリオーマは強い浸潤能がある。そのため、腫瘍細胞は脳の正常部位に深く染み渡り、外科手術では全摘出できない。さらに化学療法と放射線治療の集学的治療を行っても、治療抵抗性をもつがん幹細胞が増殖をくりかえす。再発の根源であるがん幹細胞をターゲットとした治療法は有効であると考えられる。しかし、血液脳関門があるため、脳に適用できる薬剤は限られている。私たちは、抗てんかん薬のペランパネルに感受性があるがん幹細胞株を見いだした。これらの細胞ではAMPA3が過剰に発現していた。さらにAMPA3の制御因子としてYOD1を見つけた。以上の成果を踏まえて本研究は、がん幹細胞がAMPA3を過剰に発現するメカニズムを明らかにするために、AMPA3をコードするGRIA3およびYOD1に遺伝子変異があるか解析した。がん幹細胞株のRNAシークエンスのデータにソフトウェアbcftoolsを用いて、10塩基程度のゲノム多型を抽出したところ、GRIA3に変異は見られなかった。一方で、YOD1は10患者に共通する変異(956A>G)を認めた。また、ソフトウェアarribaを用いて融合遺伝子を検出したが、GRIA3またはYOD1の融合遺伝子は検出されなかった。以上の結果は、YOD1の変異がAMPA3の過剰発現に関与することを示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グリオーマのがん幹細胞においてYOD1の遺伝子変異を同定した。
|
Strategy for Future Research Activity |
以上の成果を踏まえて、グリオーマのがん幹細胞おけるYOD1の遺伝子変異による影響を免疫染色法により解析する。
|
Causes of Carryover |
予定よりも少ない試薬を用いて効率よく実験を遂行できたため、次年度使用額が生じた。消耗品費(免疫組織学用試薬)に充当する。
|
Research Products
(22 results)