2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of treatment for intervertebral disc degeneration by macrophage differentiation control
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23K08584
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
波呂 浩孝 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10313264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 哲郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (70456490)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 椎間板変性 / トロンビン / マクロファージ / 椎間板穿刺モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
椎間板変性のメカニズムを特定することは、腰椎疾患の成因解明に極めて重要である。我々は、これまでに椎間板ヘルニア退縮のメカニズムを同定してきており、炎症性サイトカイン(TNF-α、TWEAK、MCP-1)や蛋白分解酵素(MMPs)や血管新生因子(VEGF)やマクロファージの遊走が、重要であることが明らかとなっている。椎間板ヘルニア退縮と椎間板変性の機序において、いずれも炎症に起因することがわかっており、今回、これら一連のメカニズムのイニシエーターを同定すべく、実験を行った結果、新たな炎症イニシエーターとして、凝固因子として知られるトロンビンが重要な役割を果たしていることが明らかになった。 一方で、マクロファージはM1とM2という2つのサブタイプが存在し、M1マクロファージは組織の損傷時に誘導され炎症を惹起し、M2マクロファージは遅発性に誘導されて組織修復に作用する。椎間板変性におけるマクロファージは初期にはM1優位であること、経時的にM2優位になることが明らかになってきた。しかしながら、M1およびM2マクロファージが経時的な椎間板への作用機序は不明である。本研究では、マウスの椎間板穿刺モデルを使用し椎間板変性の経時的変化におけるマクロファージの分極化を見ている。さらにこのマクロファージの分極化にトロンビンが寄与している可能性がある。本研究では、マウスの骨髄および腹腔より未分化なマクロファージを採取し、in vitroでM1、M2の各サブタイプに分化させ椎間板と直接共培養させることにより、実際の変化を経時的に観察している。今後は、In vitroで明らかになったマクロファージ分化制御を椎間板変性モデル動物(マウス)に応用し、治療効果を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の研究成果として、マウスの椎間板穿刺モデルを使用したin vivoモデルが、これまで研究に使用していた顕微鏡下でマウス椎間板を採取し培養するex vivoモデルと同様に椎間板変性を観察できることを確認した。同時にマウスの椎間板穿刺モデルにおいてもトロンビンが椎間板炎症に寄与していることが分かった。今後は娘の産生されたトロンビンがマクロファージの分極化にどのようにかかわっているのかを研究していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
過去の実験からの腹腔マクロファージ採取方法では、すでにマクロファージがM1に分極していることが分かり、ナイーブのM0マクロファージを骨髄から高純度に採取する方法を確立しているところである。まずは、in vitroにおいて、このM0マクロファージにトロンビンを投与し、分極化に与える影響について調べる。その後、マウスの椎間板穿刺モデルにおいてトロンビンの産生とマクロファージの分極化の関係、およびそのことが椎間板変性に寄与しているのかを確かめる予定である。
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