2023 Fiscal Year Research-status Report
滑膜の組織常在マクロファージと循環マクロファージが果たす役割
Project/Area Number |
23K08605
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三宅 崇文 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10971997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小俣 康徳 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (40570734)
武冨 修治 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70570018)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マクロファージ / 変形性関節症 / 関節炎 / 組織常在性マクロファージ / 循環マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は全身でGFPを発現するCAG-EGFPマウスを用いたマウス並体結合モデル、parabiosisモデルから採取した組織を解析することにより、循環マクロファージを識別し、Cx3cr1-CreERT2; Rosa26-TdTomatoマウスにより組織常在マクロファージを標識することで組織マクロファージと循環マクロファージを識別してシングルセル解析を行うことにより、それらの特有の遺伝子発現やそれらの相互作用などの解析を試みることを目的としている。 本年度はその準備段階の一つとして、野生型マウスとCAG-GFPマウスを並体結合し、野生型マウスの膝関節にグラム陰性桿菌の細胞壁の成分であるLPSを投与し、関節炎を惹起して炎症性細胞の遊走を誘導し、遊走してきた細胞を多く含む滑膜組織をシングルセル解析に提出した。現在そのデータを解析をすすめている。 今後、その解析結果を参考にして特定の遺伝子の欠損モデルなどを用いた解析を行う。また、当初の予定どおりの遺伝子組み換えマウス2系統を用いた並体結合モデルマウスの膝滑膜を用いたシングルセル解析も行い、循環マクロファージと組織常在マクロファージの相互作用などについての解析をすすめる。 また、老齢マウスを用いたシングルセル解析も同科内で行われており、そちらの結果から得られる知見も踏まえて並体結合モデルのデータの解析をすすめ、逆に並体結合モデルのデータから得られた知見をもとに老齢マウスのデータの解析もすすめ、老化と関節炎、変形性関節炎に関する知見を今後深めていく方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、並体結合モデルにより、循環マクロファージのうち、CAG-GFPマウスに由来するものを蛍光で識別可能にしたモデルを用いたシングルセル解析を提出し、解析中である。また、それに加えて、科内の他の研究において老齢マウスのシングルセル解析を行っており、そのデータによると組織常在マクロファージにはいくつかのサブセットがあり、また加齢が進むにつれてその構成が変化することが分かった。そのサブセットに特有の遺伝子などから、並体結合モデルによるシングルセル解析のデータの解析を今後進める予定であり、予定外の方面からの情報によるが、組織常在性マクロファージに関する知見は徐々に集まっているため、概ね順調であると判断している
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Strategy for Future Research Activity |
上記にあるように、同科内の研究で、老齢マウスの滑膜を用いたシングルセル解析が行われており、そちらの結果から組織常在マクロファージには複数のサブセットがあり、加齢によってその構成が変化している可能性が示唆されている。 その各々のサブセットに特徴的な遺伝子をもとに並体結合モデルマウスのデータを解析し、逆に並体結合モデルマウスのデータから抽出される循環マクロファージに特徴的な遺伝子をもとに老齢マウスのデータを解析して、循環マクロファージの加齢に伴う変化を検証し、加齢に伴うマクロファージの構成の変化を解析する。この解析により、加齢に伴うOA発症率の増加に関連する遺伝子などが抽出される可能性もあり、同科内で行った変形性膝関節症に対する人工膝関節置換術の際に採取した臨床検体を用いたシングルセル解析の結果とも照合し、OA発症と関連する遺伝子の検索も並行して行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:順調に研究が進んでいるため、必要以上に経費をかけずに済んだ。 次年度使用計画:次年度以降の経費のかさむ実験・解析に使用する計画である。
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