2023 Fiscal Year Research-status Report
移乗介助時の腰背部リスクに基づきVRを介した移乗教示の効果
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23K08609
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柴田 克之 金沢大学, 保健学系, 教授 (60178902)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 介助動作 / 3次元動作解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、移乗介助時の介助者の腰部圧迫力(L5/S1椎間板)を生体力学的手法で算出し、介助方法の違いと介助用具の有無による差異を明示すること。今回、研究課題に選んだre-positioningに関する研究は、Ohio state Univ Marras,WSらの報告のみで、国内では我々の研究報告以外は見当たらない。従って、臨床場面で頻繁に実施されているre-positioningを実験課題に取り上げ、介助中の腰部負担(リスクレベル)を定量的に示し、さらに介助方法を教示するにあたり、VRを活用した視覚的にフィードバックする方法は新規的な取り組みである。 R5年度の研究は、ベッド上のre-positioning時の介助動作を3次元動作解析装置(ノラクソン社製、モーションセンサー)で計測し、介助者の介助中に腰部圧迫力(L5/S1椎間板内圧迫力)を定量化する実験を実施した。R6年度は前年度に計測した各課題の実測値に基づき、介助動作のモデルをVR上のアバターに反映させることができるを試行する計画である。加えて、モデル化した介助動作が視覚的に再現する方法を検証していく。今回の課題は以下の2期から構成している。1期目はベッド上の模擬患者(ダミー人形)をre-positioning時、介助者の腰部背部圧迫力を算出して、腰痛のリスクレベルを明らかにする。2期目は1期で得られた介助姿勢と腰背部の圧迫力のデータを視覚的なモデルに連動するように再編集を検討する。さらに、被験者にVRゴーグルを介して、どの工程でどの程度の負荷量が生じているかを視覚的にフィードバックする教示法を作成する。被験者となる医療・福祉従事者には、VR体験を通じて、ハイリスクな介助動作の動きと腰部の負荷量が同時に視覚情報として入力され、介助方法を見直す習得プログラムと計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の課題は以下の2期から構成している。1期はベッド上のダミー人形をre-positioning時、介助者に生じる腰部背部圧迫力を算出して、介助中のリスクレベルを明らかにする。2期目は1期で得られた介助姿勢と腰背部の圧迫力のデータを視覚的にモデルに連動するように再編集を検証する。さらに、被験者にVRゴーグルを介して、どの工程でどの程度の負荷量が生じているかを視覚的にフィードバックする教示法を検討中である。第1期(R5年度):研究課題は、10名の健常成人を対象に介助の違いと福祉用具の有無による(2×2)課題を行い、各課題の腰背部圧迫力を数量化する。まず介助方法の違いは、重心位置を下げて両膝をベッド手前のフレームに接地させて行う課題と接地させない課題で腰部圧迫力を測定する。介助動作は動作解析装置(変位位置、角度、加速度)による体幹、腰部、骨盤、下肢、上肢の身体各部位の動きを3軸方向で解析する。続いて、re-positioningの介助動作は、腰部に負荷される推定圧迫力から腰痛のリスクレベルが示される。研究に用いる機器は、現有している動作解析システム6ch(NORAXONモーションセンサー)と今回新たに3ch追加購入して、身体全体の動きを網羅的に計測できるシステムを構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は第1期2期で実施した各条件の介助動作と腰部圧迫力データにリンクさせて、介助動作を3D動作のモデルに変換させること。さらに、介助中の腰部圧迫力の推定力を視覚的に視認させることができるか検討していく。具体的なアプローチとして、VRゴーグルを介して、介助リスクを視覚的に教示するプログラムを作成を考えている。VRを視聴した後、個々の被験者にインタビューガイドに従い、VR視聴による印象評価を行う。被験者から得られた内容を逐語録として言語化したのち、質的分析(SCAT法)を用いてVR教示によるメリット、デメリット、さらに改善などの要因を抽出する。第3期(R7年度):最終年度は1期で計測した定量的な介助データと2期でVRを用いて介助教示した体験による質的分析の結果をまとめ論文化する。
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Causes of Carryover |
本研究に関して、研究機関(オハイオ州立大学、Marrasら)との研究に関する情報交換も含め、国際人間工学学会に参加する予定であったが、スケジュールの調整が叶わず学会参加できなかった予算が残金となった。
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