2023 Fiscal Year Research-status Report
不動痛はROSによる脊髄内TRPA1チャネル活性化を介した中枢性感作が関与する
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23K08615
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
西尾 尚子 和歌山県立医科大学, 医学部, 特別研究員 (40648359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 亘 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (20453194)
山中 学 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30597084)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 不動 / 活性酸素種 / 疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
整形外科学領域における骨折・捻挫・打撲といった外傷にギプスなどの外固定治療は有用な治療法であるが、長期の外固定による身体の不動化はときに原因不明の慢性疼痛を引き起こし、難治化することがある。不動による疼痛発生メカニズムはいまだ一定の見解が得られていない。我々は過去に脊髄後角浅層において活性酸素種(Reactive Oxygen Species:ROS)が痛みを伝える感覚神経の神経終末に存在するTransient receptor potential ankyrin 1 (TRPA1)チャネルを活性化させることを報告し、ROSが中枢性感作を引き起こす可能性を示した。またROSは虚血・再灌流障害や廃用性筋萎縮といった病態に関与していると報告されている。これらの研究を基に、「外傷を伴わない不動による慢性疼痛発生メカニズムに、体内のROSの上昇による脊髄後角レベルでのTRPA1チャネル活性化を介した中枢性感作が関与しているのではないか」という仮説をたてた。本研究の目的はこの仮説を電気生理学的・生化学的・行動学的実験を用いて明らかにすることである。本研究は運動器慢性疼痛への運動療法・リハビリテーションの有用性を高め、さらに慢性疼痛の予防に対するエビデンスとして貢献できると考える。本年度は5週齢のノーマルラットの頸静脈から採取した血漿よりフリーラジカル解析装置を用いて(ROSは不安定であるので中間代謝物濃度を測定する)酸化度を示すReactive Oxygen Metabolites(d-ROMs)値、抗酸化度を示すBiological Anti-oxidant Potential(BAP)値を解析した。その結果、平均値±標準誤差を示すにd-ROMs値は203.6±11.5U.CARR(1U.CARR=0.08mg/100mlH2O2)で、BAP値は2756.8±87.7μmol/lとなった(n=5)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は手技の習得・洗練習熟に多くの時間を要した為、研究開始が遅れ、期待される成果が出ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画にしたがい、次年度は不動化モデルラットにおける生化学的解析、並びにノーマルラット、モデルラットの行動学的解析を予定している。
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Causes of Carryover |
本年度は手技の習得・洗練習熟に多くの時間を要した為、研究開始が遅れ、実験計画の一部のみ実施された。次年度は研究計画に従い、生化学的実験・行動学的実験に付随する消耗品や情報収集に伴う学会参加費として研究費の使用を予定している。
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