2023 Fiscal Year Research-status Report
ClassⅢアルコール脱水素酵素による飲酒後骨粗鬆症の新規治療開発
Project/Area Number |
23K08640
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
枝重 光洋 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50940467)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成尾 宗浩 日本医科大学, 大学院医学研究科, 研究生 (00772310)
根岸 靖幸 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50644580)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | アルコール / ADH3 / 骨形成 / 骨吸収 / 続発性骨粗鬆症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Class Ⅲアルコール脱水素酵素(ADH3)が哺乳動物のほぼすべての組織に分布し、局所のアルコール代謝に関与することから、骨組織におけるアルコール代謝が引き起こす組織障害に着目した。当該年度では、アルコール投与前の骨形態および骨代謝遺伝子プロファイルの差異を確認するため、C57BL/6雌マウスのワイルドタイプ(WT)およびADH3ノックアウト(ADH3KO)において、末梢骨定量CTにおける巨視的および微視的観点からみた骨形態の変化と、リアルタイム定量PCR(RT-qPCR)における骨形成、骨吸収関連遺伝子の発現頻度の差異を調査した。骨形態では、皮質骨、海綿骨ともにADH3KO群の骨密度が上昇しており、長管骨外形はADH3KO群において髄腔内径の短縮と皮質骨厚の増加傾向がみられた。骨形成関連遺伝子(Bglap)発現頻度は有意差はないものの増加傾向にあり、骨吸収関連遺伝子(NFATc1, RANKL)は変化がなかった。以上から、生体骨におけるADH3は骨形成を制御し骨吸収との均衡を保っている作用があることを示唆している。これは、ADH3の作用の一つ、S-ニトロソグルタチオン還元酵素が、間葉系幹細胞の分化経路を骨芽細胞あるいは脂肪細胞にスイッチする役割を担うという通説と合致する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19による物流の停滞により、必要物品の調達が遅れたことが影響している。現在は、卵巣切除マウスを作成して高代謝回転型骨粗鬆症モデルを再現し、飲酒後の骨粗鬆症との差異を確認中である。また、骨組織の超微細構造、とくに1型コラーゲン組織の配向性を確認する目的で、透過型電子顕微鏡を用いた解析を遂行中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
透過型電子顕微鏡による超微細構造の解析を経て、骨形成有意となっているADH3KO群がアルコール投与によりどのような表現型を呈するかについて、前記研究手法によりWT群との比較検討を実施する。
|
Causes of Carryover |
次世代シーケンサ購入に伴い、FASTqデータの解析が必要となった。骨代謝関連遺伝子の変化がエンハンサー、プロモーター領域のどのような変化に基づき発生しているかを検証するために、バイオインフォマティクスの解析技術が不可欠である。Linux言語の習得、Rによる統計解析、RNA-seqの解析技術習得を目的として、第三者機関における講習を受けることを計画したため、余裕をもった予定資金額を用意した結果次年度繰越金が発生した。
|