2023 Fiscal Year Research-status Report
エクソソームmiRNAを介した筋-脂肪間応答の異常は加齢性筋減衰を誘発する
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23K08662
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
糸数 万紀 近畿大学, 医学部, 講師 (90780015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 勇太 近畿大学, 大学病院, 助教 (30510911)
寺村 岳士 近畿大学, 大学病院, 准教授 (40460901)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | サルコペニア / エクソソーム / miRNA / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢化社会であるわが国において、高齢者の健康保持と社会参加の促進が国家的な課題となっており、現在のリハビリテーション医学における最重要課題でもある。サルコペニアは加齢による筋肉量の減衰であり、高齢者における運動機能喪失の主因である。特に、サルコペニアと肥満が重なった状態である「サルコペニア肥満」は通常の肥満よりも生活習慣病などにかかりやすく、運動能力、特に歩行能力を低下させるため、寝たきりになるリスクを高める。しかしながら、加齢に伴うサルコペニア肥満の機序、中でも筋内脂肪(いわゆる霜降り肉)への変化機序は未だほとんどが不明であり、それゆえに有効な介入方法は限られる。本研究の目的は老化に伴う筋肉の変性は何らかの細胞応答が骨格筋由来間葉系幹細胞の幹細胞としての形質維持に影響を及ぼすためである、を証明することである。そこで我々は組織間応答を担うエクソソームに着目し実験を進めている。 組織からのエクソソームを単離するにあたり、今後の臨床応用も念頭に幹細胞培養液に放出されたエクソソームの回収方法を検討した。また従来の超遠心法ではかなりの時間を要するため、短時間での回収方法を検討した。若齢マウスと老齢マウスの骨髄間葉系幹細胞の培養液を回収し短時間の超遠心でエクソソームを回収した。回収したエクソソームをマイクロアレイにかけ、若齢、老齢に差がある複数のmiRNAを同定した。現在は同定したmiRNAについて解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
短時間でのエクソソームの回収方法の確立や、回収したエクソソームをマイクロアレイにかけ、若齢、老齢に差がある複数のmiRNAを同定できたことなど、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同定したmiRNAについてまず採取しやすい若齢、老齢マウスの骨髄間葉系幹細胞での発現を確認する。次に加齢因子とされる酸化や炎症因子を添加し、同定したmiRNAの動向を確認する。同定したmiRNAを過剰発現、ノックアウトを行い、下流因子への影響を観察する。観察された行程を培養上清のエクソソームに応用する。
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Causes of Carryover |
エクソソームの分離方法の検討に時間がかかり、支出が少なくなった。今後はマイクロアレイで得られた結果を検討するにあたり必要な物品に使用予定である。
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