2023 Fiscal Year Research-status Report
小児大腿骨頭壊死症に対する治療法の開発:IL-6抑制による骨治癒促進メカニズムの解明
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23K08663
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
神谷 宣広 天理大学, 体育学部, 教授 (50735876)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 骨壊死 / 小児 / 中和抗体 / 動物モデル / インターロイキン6 |
Outline of Annual Research Achievements |
股関節の大腿骨頭が小児期に腐る病気(骨壊死)があります。骨頭が潰れる可能性があり小学生の学校活動が盛んな時期に運動や日常生活が大きく制限されます。100年以上前から報告されている病気ですが病気の原因が明らかでなく、治療に数年かかります。私たちは、2010年からこの病気の研究を始め、様々な研究成果を国際論文に発表してきました。その1つとして、この病気の子供たちの股関節液に炎症性物質であるインターロイキン6が多量に存在することを世界で初めて報告してきました。その結果をふまえ、このインターロイキン6の産生を減らすことにより、骨頭が潰れる本疾患の病態を改善できると考えており、本研究課題ではその仮説を実証する基礎研究を行います。具体的には、インターロイキン6の産生を減らすことで骨壊死部に新たな骨が作り出されることを実験で明らかにします。今回、インターロイキン6の働きを抑える中和抗体(実際にはインターロイキン6受容体をブロックするもの)を用いて骨壊死後の骨修復を検討した所、骨修復が促進していた結果が骨壊死モデル動物を使った実験から明らかになりました。動物モデルから得られた本研究結果は、この病気で困る人々に治療法の1つとして実際に応用できる可能性を将来の医療としての希望に繋げるものであると考えられます。得られた成果は、この病気を扱う日本整形外科学会(基礎学術集会)で報告しました。今後は、今回の成果をさらに多角的に検証することで将来の臨床応用に必要な基礎的データをさらに収集することを予定しています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画を進めることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画を予定通り進めることができる。海外との国際研究を推進する。
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Causes of Carryover |
大学からの個人研究費を一部本研究費用に充てて補填したため。また、円安により今後海外からの研究資材の調達ならびに海外共同研究施設への訪問旅費ならびに宿泊費に当初予想された経費以上の費用が予想されるため、次年度使用額を計画的に生じさせたため。
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