2023 Fiscal Year Research-status Report
脳波を用いた慢性疼痛患者における認知行動療法適応予測手法の開発
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23K08667
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
清水 啓介 千葉大学, 未来医療教育研究機構, 特任助教 (20937130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹生 浩人 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (00914748)
大鳥 精司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (40361430)
江口 和 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任准教授 (40507323)
折田 純久 千葉大学, フロンティア医工学センター, 教授 (60638310)
稲毛 一秀 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (80793629)
志賀 康浩 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任准教授 (90568669)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / 認知行動療法 / ニューロフィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度においては本学痛みセンター患者を中心に被験者のリクルートを行い、各種心理検査、知能検査及び脳波の取得を中心にデータ収集を行っている。 α波の周波数解析は行わず、脳波のcomplexityに着目し、Fuzzy Multi Scale Entropy(FMSE)のスコアをscale factorごとに解析し、認知行動療法不応群と奏功群との差異について解析を行っている。慢性疼痛の認知行動療法奏功群と不応群の2群で比較検討した結果、scale factor1~7(速い周波数帯域)における複雑性がCBT不応群において低いことが分かり、奏功群においてはscale factor18~20(低い周波数帯域)における複雑性が特に高いことが分かった。知能水準においても先行研究同様言語性IQで平均の下域(80~89)を平均的に示す群がCBT不応群であり、低い複雑性と高相関を認めた。自閉傾向についてはAQを用いて評価を行ったが、創造性が他の項目と比較して有意に低く、言語性IQと複雑性とも高相関を認めた。副次的評価項目としてはFMSEと知能水準、発達障害傾向との相関についても解析している。 先行研究において、低い周波数帯域は全般的な認知機能との関連が指摘されており、低い周波数帯域における高い複雑性と高い知能については既報告同様の結果が得られたが、早いtime scale において複雑性が低い原因については今後も検討が必要である。 以上より、脳波のアルファ波フィードバックトレーニングにおける上昇率だけでなく、脳波のFuzzy Multi Scale Entropy(FMSE)を用いてのCBT適応評価も可能であると考えられる。双方の鑑別能については今後、比較検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳波の複雑性の評価指標としてFuzzy Multi Scale Entropy(FMSE)に着目したが、脳波デバイスから取得できるデータからFMSEを算出するMatlab上で処理するコード作成に時間を要したため。また、外来の体制変更により患者リクルートにも時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度中に認知行動療法(CBT)の適正に影響を与える可能性のあるFuzzy Multi Scale Entropy(FMSE)と疼痛の関係について国際誌に投稿を行う。データ収集は継続して行うことで、アルファ波ニューロフィードバックの治療効果とCBT適正評価に関しては後ろ向きで評価を行う。α波ニューロフィードバックとFMSEのCBT予測能についてはROC解析にて今後評価を行う。
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Causes of Carryover |
当院痛みセンターの組織体制に変更が生じ新患患者が減少しリクルートに時間を要したこと、MATLABでの脳波計算のコード作成に時間を要したことで論文の作成が未完了である。また、参加予定であった国際腰痛学会(イタリア開催)への演題が通らなかったため、未使用額が生じた。 今後、FMSEに関する論文発表を行い、並行して脳波FMSEを用いた慢性疼痛鑑別能について特許申請を行う。
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