2023 Fiscal Year Research-status Report
Histopathological analysis of the posterior cruciate ligament after knee arthroplasty and development of a method for determining the surgical procedure
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23K08673
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
堀内 博志 信州大学, 医学部附属病院, 教授(特定雇用) (80377639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 章太 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (70723071)
上原 剛 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (80402121)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 人工膝関節置換術 / 後十字靭帯 / 病理組織 / 術式選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従い長野松代総合病院に保存・管理されている人工膝関節置換術後の剖検例における病理学的な解析を行った。まず、剖検例を確認しリストを再整理し、診療録および術前・術後の画像検査の確認した。その結果、80例の人工膝関節置換術後の剖検膝が保存されていることがわかった。さらに、剖検膝の解析を行い、人工関節後の関節内の状態を評価している。人工膝関節全置換術(TKA)症例は全例後十字靭帯(PCL)を温存する後十字靭帯温存型(cruciate retaining: CR)であった。膝蓋骨は置換および非置換症例があり、それぞれの術後の状態も解析が可能であり、今回の研究で膝蓋骨置換の新しい適応が確立出来る可能性があると考えた。 CR型TKA後のPCLの状態を剖検膝でマクロ所見を解析しているが、現在までの解析では関節症(OA)では全例PCLが温存されていたが、関節リウマチ(RA)では一部の症例で、手術時より変性が進行している症例があった。両側例において片側はPCLがintactで温存されていても、対側でPCLに滑膜増殖がみられる症例があった。このことにより、RAのコントロールの状態のみがTKA後のPCLの状態に影響を与えるのではないことが明らかになっている。現在、RAにおけるPCLの状態に影響を与える因子を解析中である。 さらに、PCL実質と脛骨付着を骨ごと摘出する作業を継続しつつ、CT等で脛骨付着の画像解析を開始している。 この研究についての学会発表や論文はいまだ行っていないが、臨床成績等の報告は日本膝関節学会や日本人工関節学会で行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
剖検例のリスト化は症例の確認、診療録および画像検査等を整理する工程があり、時間を要した。しかし、長野松代総合病院では、死亡症例についても必要な診療録(紙カルテを含む)が永久保存されており、一部欠損はあるものの解析に必要な臨床な資料は準備出来た。剖検膝からの後十字靭帯および脛骨付着部の摘出を進めているが,計画通り進行している.解析対象となる後十字靭帯の性状は,特に関節リウマチ症例でばらつきが多い知見が得られつつあり,手術適応に繋がる結果になりそうである. 加えて,膝蓋骨の性状についても解析を行っているが,置換と非置換での膝蓋骨の状態を評価することで,人工膝関節置換術における膝蓋骨置換についても,新しい知見が得られる可能性があると考えている.したがって,現時点ではこの研究はおおむね順調に進展していると考えている
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り,人工膝関節置換術において温存した後十字靭帯の解析を進める.関節症と関節リウマチでの適応,あるいは術前および術後の臨床経過から後十字靭帯温存の適応を明らかにしていく.さらに,膝蓋骨の性状から,膝蓋骨置換および非置換の適応についても考察出来る可能性が出てきた. 画像解析としては,動物用を含めたCTでの付着部の解析を推進し,後十字靭帯温存のための適切な手術手技の検証につなげていく計画になっている. さらに,靭帯実質の病理組織学的検討や脛骨付着部の解剖学的特徴および病理学的な解析を行うことで,本研究の目的である人工膝関節置換術における後十字靭帯温存の適応決定に繋がるような,新しい知見を見出したい.得られた成果は海外を含めた学会および医学論文として公表していく.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,当初は標本管理に人件費が発生する見込みであったが,現時点では人件費は不要な状態になっていることと旅費を科研費とは別の研究費等から支給出来たことなどにより,当初予算より必要経費が少なく済んだ.しかし,今年度は病理組織学的解析を開始しているので,試薬や材料費等の高騰により,前年度からの繰り越し予算を使用して研究が遂行できる見込みである.
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