2023 Fiscal Year Research-status Report
エピゲノムを介した骨棘形成と変形性膝関節症発症メカニズムの解明
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23K08679
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
忽那 辰彦 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (60536449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城野 明裕 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (00882739)
今井 祐記 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (10423873)
柳原 裕太 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 助教 (20865703)
高尾 正樹 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (30528253)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 変形性膝関節症 / エピゲノム / 骨棘形成 / Uhrf1 |
Outline of Annual Research Achievements |
滑膜間葉系幹細胞特異的Uhrf1ノックアウトマウスを作出し、11週齢で腹腔内へのタモキシフェン投与により遺伝子欠損を誘導した後、12週齢で半月板不安定化処置により変形性膝関節症を誘導し(DMMモデル)、術後2週でサンプリングし脛骨内側関節面辺縁の骨棘を評価した。初期の骨棘評価については過去の報告では不十分と考えたため、再現性のある新たな骨棘評価法を確立し報告した。この評価法を用いてUhrf1ノックアウトマウスで有意に骨棘形成が阻害されていることを確認した。次に、8週齢のマウスから膝Fatpadを採取しコラゲナーゼ処理を加え、滑膜線維芽細胞の初代培養を行った。採取できる細胞が非常に少なく、細胞培養の確立に難渋している。少量の細胞は採取出来たため、4OHTでノックアウトを実施した後にFACSを用いて滑膜間葉系幹細胞マーカーであるPdgfra陽性、CD31陰性、CD45陰性細胞を採取した。FACSで採取した少量細胞でRNAーseqを行い遺伝子発現の増減を確認したが、サンプルのqualityが低く、正確な解析が困難であった。そこで、細胞培養の確立と並行してHumanサンプルでの実験を開始した。TKA患者の膝滑膜を採取しコラゲナーゼ処理を行った後に培養し、SiRNAでUhrf1ノックダウンを実施した。ノックダウンは良好に実施された。セルカウント法によってUhrf1ノックダウン細胞の増殖能低下が確認できた。また、Micromass Cultureを作成しBMP2投与によって軟骨分化能を評価した結果、Uhrf1ノックダウン細胞において軟骨分化能の低下を確認できた。さらに、滑膜間葉系幹細胞特異的なUhrf1ノックアウトマウスにおいて有意に骨棘形成が阻害されていることを確認できたため、この骨棘形成の阻害が軟骨変性へ与える影響を評価するため、DMMモデルを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス膝滑膜線維芽細胞の初代培養がうまく確立せず、初代培養を用いた実験が進んでいない。この原因の大きなものとして、初代培養で用いるFatpadの量が 1個体あたり非常に少量であることが挙げられる。そのため、Mcromass cultureなどの分化能実験やqualityの高いRNA-seqが実施できていない。初代培養の確立を目指すとともに、Humanサンプルでの実験を並行して行い、マウス細胞でのRNA-seqが困難であればHumanのノックダウン細胞でRNA-seqを行う予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス膝滑膜細胞の初代培養を確立し、増殖実験、分化実験を実施する。初代培養確立後は再度、コントロールマウスと滑膜間葉系幹細胞特異的Uhrf1ノックアウトマウスの遺伝子発現の差をRNAーseqで評価する予定である。初代培養で十分な細胞量が得られない場合は、Humanのノックダウン細胞を用いてRNA-seqを行う予定である。RNA-seqで得られた結果を過去のUhrf1ノックアウトマウスのRNA-seq結果と比較し、Uhrf1の制御している候補遺伝子を選定し、Humanサンプルでの遺伝子発現を確認する。また、候補遺伝子のノックアウトマウスを作出し表現系を確認する。さらには、滑膜間葉系幹細胞特異的なUhrf1ノックアウトマウスにおいて有意に骨棘形成が阻害されていることを確認できたため、この骨棘形成の阻害が軟骨変性へ与える影響を評価するため、DMMモデルを作成し術後12週で評価予定である。
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Causes of Carryover |
マウスの膝滑膜初代培養の確立に難渋しており、その先に行う予定であった実験に必要な試料、器具に関わる費用が発生しなかったからと考える。今後、初代培養確立後に予定している増殖実験、分化実験に必要な試料、器具の費用として使用する予定である。
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