2023 Fiscal Year Research-status Report
淡明細胞型腎細胞癌における浸潤性増殖能獲得のプロセスと腫瘍免疫学的背景の解明
Project/Area Number |
23K08774
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (50748358)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 淡明細胞型腎細胞癌 / 腎実質内浸潤/進展 / 免疫微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、局所進行腎癌に対する術後補助免疫チェックポイント阻害薬治療の有効性が示され、これを中心とした腎癌に対する集学的治療に対する関心が高まっている。一方、その恩恵を受けるハイリスクかつ薬物治療感受性の高い患者群が不明であり、その解明が急務である。申請者は、腎細胞癌において腫瘍と腎実質の境界に着目した画像および臨床腫瘍検体を用いた解析を行い、その成果を報告した。画像所見を用いた解析では、手術が施行された局所進行腎細胞癌の術前造影CT画像を用い、腎癌と正常腎実質の境界不明瞭が不良な予後と強く関連することを示した(Shimada W, Tanaka H, et al. Int J Urol. 2021; 28: 1233-1239.)。類似の解析を転移を有する腎細胞癌においても施行し、転移性腎細胞癌においても、腎癌原発巣と正常腎実質の境界不明瞭がが腎癌死の独立したリスク因子であり、さらに現在広く用いられているIMDCのリスク分類と組み合わせることでその予測精度の向上に寄与することを示した(Yamaguchi Y, Tanaka H, et al. Int J Urol. 2023; 30: 913-921)。臨床腫瘍検体を用いた解析では、淡明細胞型腎細胞癌において、腎実質内に浸潤/進展する増殖形態(腎実質浸潤)が術後の転移再発と強く関連することを見出し、さらに網羅的ゲノム解析を施行して、淡明細胞型腎細胞癌において高い生物学的悪性度に関連するとされる遺伝子変異が、腎実質浸潤部ではより高頻度に集積していることを示した。現在、本結果を論文投稿中である。組織学的な腎実質内浸潤/進展の意義をさらに探究すべく、腎実質浸潤/進展部と非浸潤/進展部における代表的な遺伝子変異のパターンと免疫微小環境の比較に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述したように、淡明細胞型腎細胞癌の臨床腫瘍検体を用いた解析における腎実質内浸潤/進展の予後への影響と遺伝学的背景に関する論文を現在投稿中である。この改訂において追加の解析が必要となり、これに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度、組織学的な腎実質内浸潤/進展の意義をさらに探究すべく、腎実質浸潤/進展部と非浸潤/進展部における代表的な遺伝子変異のパターンと免疫微小環境の比較を進める。
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Causes of Carryover |
上述したように、淡明細胞型腎細胞癌の臨床腫瘍検体を用いた解析における腎実質内浸潤/進展の予後への影響と遺伝学的背景に関する論文を現在投稿中である。今年度、この改訂において追加の解析が必要となりこれに時間を要した。次年度、組織学的な腎実質内浸潤/進展の意義をさらに探究すべく、腎実質浸潤/進展部と非浸潤/進展部における代表的な遺伝子変異のパターンと免疫微小環境の比較を進める予定である。
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