2023 Fiscal Year Research-status Report
基底/扁平上皮型膀胱尿路上皮癌でのERβ関連因子:新規バイオマーカーとしての期待
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23K08785
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中村 保宏 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (80396499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 洋樹 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (10855761)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | エストロゲン受容体β (ERβ) / 膀胱尿路上皮癌 / 免疫組織化学 / ヒト膀胱尿路上皮癌細胞株 |
Outline of Annual Research Achievements |
術前化学療法を行った筋層浸潤膀胱尿路上皮癌およびそのリンパ節転移検体において、エストロゲン受容体β (ERβ)の発現状況を免疫組織化学的検討で評価した。その結果、これらの症例では膀胱原発巣及びリンパ節転移部にて発現が確認された。また、原発巣において発現が確認された症例はリンパ節転移部にも発現が確認された例が多い傾向にあった。 一方、ヒト膀胱尿路上皮癌細胞株であるT24細胞、J82細胞、NKB1細胞を用いてERβの発現状況をRT-qPCR及びWestern blotting法により検討したところ、3種の細胞において発現を確認でき、とりわけT24細胞及びJ82細胞にて発現量が高めの傾向にあった。しかしながら、3種の細胞においてERβの合成アゴニストであるWAY200070の添加によってERβの応答遺伝子とされるMCM5の発現に変化はなかった。 加えて、ヒト膀胱尿路上皮癌細胞株J82細胞に対してレトロウイルスを用いて過剰発現ベクターを導入し、ERβの強制発現株の作成を行った。作成後、Western blotting法にてERβの発現を確認することができた。現在はこの細胞を用いてRNA-seqを用いた遺伝子発現の網羅的解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ERβの発現に関して、筋層浸潤膀胱尿路上皮癌の原発巣およびそのリンパ節転移検体での免疫組織化学的検討の解析をほぼ終了することが出来た。また、複数のヒト膀胱尿路上皮癌細胞株におけるERβの発現状況の確認を終え、さらにそれらの中からJ82細胞でのERβ強制発現株の作成に成功した。よって、ほぼ順調な進捗状況といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定として、遺伝子発現の網羅的解析による細胞の各種マーカーの変化に加え、尿路状皮癌細胞におけるERβの標的遺伝子が癌細胞の性質にどのような変化を与えるかについて検討を行う。また、ERβ増殖・浸潤能の検討を行っていくことを予定している。
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Causes of Carryover |
初年度の研究遂行に必要な経費が、研究分担者分を含め当初の見込み額に達しなかった。そのため、次年度以降でのより詳細な実験・解析を行うための費用に計上予定である。
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