2023 Fiscal Year Research-status Report
Hippo経路による絨毛細胞の分化プロセス制御機構の解明とその応用
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23K08803
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
水谷 哲也 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (90322734)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 絨毛細胞 / YAP / TAZ / TEAD |
Outline of Annual Research Achievements |
Hippo pathwayは、細胞増殖や器官サイズを制御するシグナル伝達系として明らかになっている。Hippo pathwayによるシグナルは、最終的に転写共役因子YAP/TAZの活性を制御することで様々な遺伝子の発現を調節している。 我々は、絨毛細胞由来BeWo細胞やヒト栄養膜幹細胞を用いた解析より、YAP/TAZは転写因子TEADと共に細胞性栄養膜 (Cytotrophoblast: CT) 細胞の維持に必須であり、これらの活性低下が合胞体栄養膜 (Syncytiotrophoblast: ST) 細胞への分化に重要であることを明らかにしている。しかしながら、既知のST細胞特異的遺伝子近傍にはYAP/TAZ-TEAD結合領域は認められず、そのメカニズムは不明であった。そこでまず、遺伝子近傍にYAP/TAZ-TEAD結合領域が存在する新たな標的遺伝子を明らかにするため、我々が行ったChIP-seqの結果とRNA-seqおよびDNAマイクロアレイの結果を解析した。その結果、SHBおよびDAP遺伝子がその遺伝子近傍にYAP/TAZ-TEADが結合する新たな標的遺伝子の候補であることが示された。これらの結果を確認するため、RT-qPCRおよびChIP-qPCR解析を行ったところYAP/TAZ-TEADによる遺伝子発現およびその結合が認められた。 以上の結果から、絨毛細胞における新たなYAP/TAZ-TEAD標的遺伝子が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、絨毛細胞においてYAP/TAZ-TEADによるST細胞特異的遺伝子の発現調節について新たな知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
新たなYAP/TAZ-TEAD標的遺伝子が同定できたので、YAP/TAZ-TEADによる詳細な遺伝子発現調節メカニズムの解析が可能になった。今後、このメカニズムの解明をさらに進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究は概ね計画通りであったが、消耗品費が予定よりも少なく研究が進められたため、次年度使用が生じた。 ひき続き、本研究の継続のため、人件費や消耗品にあてる予定である。
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