2023 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子変異の観点からみた子宮内膜癌における核の弾性維持蛋白ラミンの役割の解明
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23K08815
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
西島 良美 群馬大学, 大学院保健学研究科, 講師 (10710733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊尾 征直 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (40242721)
小林 さやか 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (80765694)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ラミン / エメリン / 子宮内膜癌 / 核ラミナ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、群馬大学医学部附属病院産婦人科で外科的に切除された子宮内膜組織材料を用いて核形状維持蛋白(ラミンA、ラミンB1、ラミンB2、エメリン)発現と病変進展および臨床病理学的因子との関連性について解析を行った。概略としては、正常内膜、子宮内膜増殖症、前がん病変として子宮内膜異型増殖症、類内膜癌症例を抽出した。次にHE染色、鍍銀染色により子宮内膜異型増殖症および類内膜癌の同一症例内での鑑別を行い、各症例群の選定を行った。その後、各蛋白の免疫組織化学染色を施行した。 免疫染色後、染色済み標本上の5か所をランダムに抽出して写真撮影装置やバーチャルスキャナを用いて写真撮影を行い、その画像をコンピューターに取り込んで画像解析を行い蛋白発現と核形状因子の解析を試みた。 その結果、ラミンAおよびエメリン蛋白発現は、正常内膜、子宮内膜増殖症/子宮内膜異型増殖症、類内膜癌に至るまで一貫して大きな変化が見いだせず、正常内膜から類内膜癌に至るまで低発現状態を維持していることが確認できた。また、核の大きさや周囲長については、正常内膜、子宮内膜増殖症/子宮内膜異型増殖症、類内膜癌の症例間での比較による有意差は認められなかった。 子宮内膜においては、核ラミナを構成する類似した蛋白であるラミン Aとエメリンが核形状の維持や腫瘍の進展において、他の腫瘍とは異なる役割を果たしていることを示しているものと考えられたが、同様の結果を他の腫瘍で確認できていないため、さらに追加の検索を行い検討を続ける予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、今年度分のデータをまとめて論文投稿の準備を進めているため、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に解析を行った核形状維持蛋白発現を症例数を増やして追加検討を進める。また、類内膜癌症例については症例数を追加するとともに組織型の種類を増やし、免疫染色とPOLE遺伝子変異解析の組みあわせであるProMisE分類を参考に、POLE-ultramutated、MMR、p53-mutant、NSMPの4型への再分類を試み、その分類と核形状維持蛋白発現、臨床病理学的因子の解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初、今年度中に行う予定であった解析を次年度に回すことに計画を変更したため、その差分を翌年度に繰り越すこととなった。 次年度は、令和5年度に進めた解析に加えて、類内膜癌の遺伝子変異ごとの分類を解析に加える予定であるため、そちらの費用として使用する予定である。
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