2023 Fiscal Year Research-status Report
オルガノイド培養を用いた子宮内膜症を背景とした卵巣癌発癌機序の解明
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23K08829
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中村 康平 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (10775802)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / オルガノイド / 婦人科腫瘍学 / 発癌機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
良性の内膜症性嚢胞の全エクソン解析による遺伝子プロファイルは報告がない。これは、内膜症性上皮が単層であり、ホルマリン固定パラフィン包埋組織では全エクソン解析に必要なDNA量の回収が困難なことが原因である。内膜症性上皮細胞のオルガイノイドの樹立はこれまでに報告はないが、我々は、15例の内膜症上皮オルガノイド培養に成功し、全エクソン解析に十分なDNA抽出に成功した。15例ともがん関連遺伝子のパネルシーケンスは終了しており、KRAS, PIK3CA, ARID1Aの各変異を単独、あるいは複数の組み合わせで認める、多段階発癌モデルの実証のために極めて貴重なサンプルの取得に成功した。今後、未知の原因遺伝子の探索を目的とし、全エクソン解析、RNA-seq、Visium空間的遺伝子発現解析を行なう。これは、内膜症性上皮細胞にはKRAS等の遺伝子変異がすでに入っていることが実証されたため、癌化にはこれまで報告のないマイナーな遺伝子異常が関与している可能性が高く、全エクソン解析やRNA-seqによる網羅的解析が今後の発癌機序の解明には必須である。また、内膜症上皮は単層であるため、間質の癌化への寄与を探索するためにもVisium空間的遺伝子発現解析も有用と考える。患者由来オルガノイドは、実際の疾患の遺伝型と表現型を忠実に反映するため、ゼノグラフト等で見られた基礎研究と実臨床とのギャップを埋める実験モデルとなりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に沿い、計画通りに研究を遂行できているため
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画書に沿い、研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症のため、多くの出張や研究会参加がオンライン参加となったため、次年度使用額が生じた。次年度において、これらの資金を研究会参加費や研究費として有効に活用する予定である。
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