2023 Fiscal Year Research-status Report
子宮内低栄養環境の次世代への影響ー代謝エピゲノム解析とバイオマーカーの開発
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23K08847
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
増山 寿 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30314678)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 代謝エピゲノム / バイオマーカー / 次世代 / 子宮内環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内環境の悪化は,児成長後の肥満・メタボリック症候群(MS)発症リスクを増加させることが知られているが,この世代間連鎖の実体は十分には解明されていない。我々はMS発症を抑制・予防する次世代型の周産期医療の開発に取り組み,世代間連鎖動物実験モデルを独自に開発し,子宮内過剰栄養環境の糖・脂質代謝遺伝子発現やエピゲノムへの影響が成長後MS発症に深く関与していることを明らかにした。 しかしながら本邦ではリプロダクティブエイジ女性のやせの頻度が非常に高く,低栄養も問題となっていることから,本研究では,食餌制限低栄養モデルマウスおよび胎児発育不全(FGR)を伴うことの多い妊娠高血圧症候群(HDP)モデルマウスを用いて子宮内低栄養環境の次世代への影響を肥満・糖・脂質代謝遺伝子の代謝エピゲノムの観点から網羅的に解析し世代間連鎖の仕組みを解明することを目的としている。 これまでに、母獣血圧上昇、蛋白尿増加、胎仔発育不全という表現型を示すHDPモデルマウスを構築した。このモデルマウスから出生した仔は対照マウスと比較して成長後肥満、高血圧、耐糖能異常を呈し、CTによる脂肪測定では著しい内臓脂肪蓄積を認めたことから、現在代謝エピゲノムの解析をすすめている。 本研究で子宮内低栄養環境の次世代への影響とそのメカニズムに迫り,子宮内低栄養環境を反映するバイオマーカーを開発し,ヒトでの先制医療実用化への基盤とするべく研究を引き続き遂行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HDP発症モデルマウスを用いてHDP発症による子宮内環境悪化が児の成人後肥満・MS発症リスク増加を引き起こすメカニズムを網羅的に解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
構築したHDP発症モデルマウスを用いて、さらに研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究は順調に進行しているが、学会参加などWEBが中心であったため、次年度使用額が生じた。2024年度は、研究のさらなる推進と、情報収集及び他の研究者との意見交換のため国内外の学会に現地出席予定である。
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