2023 Fiscal Year Research-status Report
New development of sentinel lymph node identification method for ovarian cancer
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23K08848
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢幡 秀昭 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30404065)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | センチネルリンパ節 / 卵巣癌 / インドシアニングリーン |
Outline of Annual Research Achievements |
センチネルリンパ節(SLN)とは腫瘍から最初にリンパ流が到達するリンパ節で、婦人科領域においても子宮頸癌や子宮体癌でSLNを利用したultra stagingや縮小手術が既に臨床応用されている。本研究では卵巣癌におけるSLNの有用性を検討するため、まずは当科で過去に行われた卵巣癌症例の骨盤リンパ節摘出個数、傍大動脈リンパ節摘出個数、最終的な骨盤リンパ節転移割合、傍大動脈リンパ節転移割合を2012年から2021年までの10年間で当科で卵巣癌根治術が行われた212例において後方視的な検討を行った。骨盤リンパ節摘出個数は8-52個(中央値:24個)、傍大動脈リンパ節摘出個数は4-22個(中央値:10個)であった。実際のリンパ節転移割合は骨盤リンパ節転移が19%(41/212例)、傍大動脈リンパ節転移が11%(23/212例)であった。術後の下肢リンパ浮腫はgrade 1まで含めると34%(72/212例)に認めており、結果的には転移のない後腹膜リンパ節郭清を行ったために術後のリンパ浮腫を生じた症例が一定数存在することが確認された。また、実際の転移リンパ節の形態は2mm以上のmacrometastasisが47個、0.2-2mmのmicrometastasisが14個、0.2mm以下のITCが3個であり、ITCを同定するためのSLNを利用したultra stagingも卵巣癌においても有用である可能性も示唆された。このような背景をもとに我々は卵巣癌におけるSLNの同定法についての臨床試験を作案した。腹腔内播種を伴わないI期相当の卵巣癌患者に対して、患側の骨盤漏斗靭帯および卵巣固有靭帯にSLN同定のためのトレーサーを注入し、SLNを同定した上で、通常のバックアップ郭清を行い、SLNの同定率、陽性率、陰性的中率を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述したようにまずは卵巣癌におけるSLNの同定法の有効性(同定率、陽性率、陰性的中率)の検証が必要であるが、子宮頸癌や子宮体癌症例において我々が行ってきたテクネシウムフィチン酸によるSLN同定は術前の子宮頸部への投与でSLNは同定可能であるが、卵巣癌においては術前の子宮頸部への投与では同定できず、術中の骨盤漏斗靭帯や卵巣固有靭帯へのトレーサーの注入が必要不可欠である。その場合のトレーサーは術中に放射性同位元素は使用できないため、インドシアニングリーン(ICG)を用いることになる。テクネシウムフィチン酸は婦人科領域での適用がなされているが、ICGに関してはいまだに婦人科領域での適用がなく、現在、日本婦人科腫瘍学会のセンチネルワーキンググループにおいて公知申請の実現に向けて交渉中である。公知申請がICGに適用され次第、バックアップ郭清を用いた卵巣癌におけるSLN同定の臨床試験を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
卵巣癌におけるSLNの有用性がバックアップ郭清を用いて証明されれば、最終的にはセンチネルノードナビゲーションサージェリー(SNNS)により、摘出リンパ節を術中迅速病理診断に提出し、転移陰性であれば、それ以上のリンパ節郭清を行わない術式を選択する。SNNSにより手術時間の短縮、出血量の減少、輸血率の低下、術後下肢リンパ浮腫の軽減、長期予後での非劣性を確認することを検証していく。
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Causes of Carryover |
前述のようにICGの公知申請がなされていないことより、本研究の進捗状況の停滞により2023年の執行額が少なくなってしまったが、2024年度はICGの公知申請も近いことより2024年、2025年には予算の執行は順調に行う予定である。
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