2023 Fiscal Year Research-status Report
エストロゲン受容体イメージングを応用した子宮体癌の転移機序解明と新規治療薬の開発
Project/Area Number |
23K08862
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
津吉 秀昭 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特別研究員 (90593864)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 子宮体癌 / 分子イメージング / Radiogenomics / 治療バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
エストロゲン受容体イメージングを応用した子宮体癌の転移機序解明と新規治療薬の開発に向け、研究実施計画に沿って以下の実験ならびに画像解析を行った。①転移メカニズムと関連するFES-PET検査の画像特徴量と候補遺伝子を同定するために、患者の取得済み画像データからLIFExと呼ばれるソフトを用いてTexture解析を行い様々な画像データを抽出し、リンパ節転移を含む生存・再発に関する臨床データと組み合わせることで、患者の予後に最も影響を与えうる画像パターンを同定する。まずは画像解析に関するこれまでの成果と現状を論文発表で報告し、今後の解析のための手技並びに条件設定を確立した(Sci Rep. 2023 Nov 1;13(1):18864. J Ovarian Res. 2023 Aug 28;16(1):179.)。現在はエストロゲン受容体発現を反映するFES-PET画像に加え、糖代謝を反映するFDG-PET画像から、画像特徴量を抽出し解析を行っているところである。②これらの患者の残余組織検体を用いてマイクロアレイによる遺伝子解析を行い、遺伝子経路活性化を確認する。また同じ組織検体を用いた免疫組織化学染色・ウェスタンブロッティングでも相関を確認することで、転移メカニズムと関連するFES-PET検査の画像特徴量と候補遺伝子を同定する。現在、既知の遺伝子活性化経路ならびにエストロゲン受容体発現に関連した遺伝子活性化経路について、免疫組織化学染色を行っているところである。今後は、①の画像特徴量、②の遺伝子活性化経路との関連について解析するとともに、同患者の臨床データとの相関も解析していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の研究実施計画、”転移メカニズムと関連するFES-PET検査の画像特徴量と候補遺伝子の同定”において、画像解析に関するこれまでの成果と現状を論文発表で報告した(Sci Rep. 2023 Nov 1;13(1):18864. J Ovarian Res. 2023 Aug 28;16(1):179.)。現在は、既存のデータの解析とともに、前向きに子宮体癌患者の画像データ並びに遺伝子データの収集を行い、症例数を蓄積し、令和6年度の研究実施計画、”転移再発モデルにおけるFES-PET検査の有用性をin vitroで証明する”に向けて、in vitroでの実験系を確立しているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、前向きに子宮体癌患者の画像データ並びに遺伝子データの収集を行うとともに、令和6年度の研究実施計画である、”転移再発モデルにおけるFES-PET検査の有用性をin vitroで証明する”を行うための準備を行っているところである。すなわち、当科ですでに確立した方法により細胞培養モデルを作製し(Mizutani. Cancer lett. 2015)、それぞれの細胞培養モデルに対し、女性ホルモン受容体発現ならびに候補遺伝子の変化をRT-qPCRならびにウェスタンブロッティングを用いて、発育進展への影響をMTT assay、Migration assay、Inversion assayを用いて評価し、FES-PET検査から得られた画像特徴量と転移メカニズムの相関を明らかにする。さらには転移メカニズムと関連する候補遺伝子に対し直接阻害する薬剤を同定し、その治療効果を明らかにする。これにより、どのタイミングで、どのような遺伝子の変化が、最も癌の転移・再発に影響を与えるかを解明することができ、転移再発を予防する新たな治療標的遺伝子の同定と治療薬開発、そしてこれを予測する画像を用いた治療バイオマーカーの開発につなぐことができると考える。これらの研究データをもとに、令和7年度の研究実施計画である、”転移再発モデルにおけるFES-PET検査の有用性をin vivoで証明する”を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
令和6年度は、研究実施計画である”転移再発モデルにおけるFES-PET検査の有用性をin vitroで証明する”を行う予定であり、培養細胞の購入、あるいは、子宮体癌患者患者の摘出標本からのマイクロアレイによる遺伝子解析、免疫組織学的検査やウエスタンブロッティングなどにかかる費用が、令和6年度の資金のみでは足りなくなる恐れがあること、また、これらの実験開始が年度末、年度初めと重なってしまったことが、次年度使用額が生じた理由である。
|