2023 Fiscal Year Research-status Report
卵巣高悪性度漿液性腺癌(HGSC)の発生・進展に関与するlncRNAの同定
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23K08889
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
末岡 幸太郎 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (40452643)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 卵巣高異型度漿液性癌 / lncRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では卵巣高異型度漿液性癌(HGSC)に特異的なlong non-coding RNA (lncRNA)を同定することで,予後診断や分子標的治療への臨床応用を目指すことを目的とした。HGSCの発生母地と考えられている正常卵管組織あるいは卵巣組織とHGSC組織とを比較し、HGSCでより高発現あるいは低発現のlncRNAを同定することとした。なお本研究では当院で手術時に採取された正常卵管8検体、正常卵巣10検体と島根大学より提供されたHGSC 22検体を用いた。なお、本研究は当院のIRB審査を通過し、検体の提供にあたっては患者に説明文書を用い説明を行い、同意を得ている。 1. 凍結組織片を粉砕し、ISOGENを用いてtotal RNAを抽出した。2. 抽出したtotal RNAのうち、HGSC 6検体、正常卵管・卵巣各3検体ずつを無作為に選択し、RT2 lncRNA PCR Array Cancer PathwayFinder によりPCR Arrayを行った(様々な種類の癌に関連することが知られている84種類のlncRNAの発現を網羅的に解析できるPCRアレイである)。3. web上のPCR Array解析プログラムで解析した。ACTBを内因性コントロールとし、ΔΔCT法による解析にて検体間のlncRNAの発現量を算出した。4. 解析した84個のlncRNAのうち、1個の高発現lncRNA(LINC00152)と11個の低発現lncRNA(ACTA2-AS1、ADAMTS9-AS2、CBR3-AS1、HAND2-AS1、IPW、LINC00312、LINC00887、MEG3、NBR2、TSIXおよびXIST)がHGSC特異的lncRNAの候補として同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最も重要なlncRNAの同定はできており、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
lncRNAの同定はできた。次にinvitroの研究として、同定したlncRNAの発現を改変した卵管上皮細胞株および卵巣癌細胞株を作成し,培養系でin vitroにおける増殖,遊走,浸潤能等(scratch, invasion, wound healing assay)を評価する計画である。現在lincRNA発現改変の細胞株を作成中であり、一部は作成が完了した。
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Causes of Carryover |
本年度のin vivoの実験を計画し免疫不全マウスの購入費を計上していたが、in vitroの実験に時間を要したため、この実験を先送りし未使用額が生じた。この未使用額については、令和6年度の研究費と併せて、in vivo 研究の消耗品の購入に充てる予定である。
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