2023 Fiscal Year Research-status Report
リキッドバイオプシーによる卵巣癌の時間的空間的不均一性の克服とMRD検出の治療戦略
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23K08894
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
井箟 一彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60303640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 和人 近畿大学, 医学部, 教授 (10208134)
岩橋 尚幸 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (50750907)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | リキッドバイオプシー / 卵巣癌 / 網羅的遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行卵巣癌III/IV期30例を対象として治療前後の血液サンプルを採取し、血漿から血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を抽出し、リキッドバイプシーによる網羅的遺伝子解析をCAPP-Seqの手法を用いておこなった。術前化学療法(NAC)施行例では、NAC前後のctDNAプロファイル変化を解析したところ、NAC感受性群ではctDNAのTP53変異アレル頻度が低下した一方で、NAC抵抗性群ではTP53変異アレル頻度が上昇し、NAC後に新たなpathogenicTP53変異が出現していおり、クローン選択/進化による時間的不均一性をモニタリングすることができた。 また治療後に、血中のCA125は正常で画像検査結果からは寛解・stableの時期に、血中ctDNA解析でTP53変異を検出し、その後臨床的に明らかに再燃した症例が認められ、ctDNA解析で検出されるMolecular Residual Disease (MRD)の有無に基づく早期の病勢診断や治療薬変更の判断材料としての臨床応用の可能性も示唆された。以上より、本年度の研究において、従来の腫瘍組織を用いた網羅的遺伝子解析と比較して、簡便で繰り返し解析可能なリキッドバイオプシーによるctDNA解析の優位性の知見の一端をえることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究で、卵巣癌患者の血中ctDNAによるリキッドバイオプシー施行することにより、時間的不均一性の検出やMRDの検出における優位性(組織遺伝子パネル検査と比較して)の知見をえることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、卵巣癌患者において、本年度までの研究のさらなる症例数を増やしての継続に加えて、原発病巣と転移病巣の遺伝子プロファイルの相違(空間的不均一性)の検出における、ctDNAリキッドバイプシーの優位性についてもさらに解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は物品費用を節約しながら、既存の機器を用いた解析で、研究を効率よく進めることができたため、当初予算より研究費用の出費を少なく進めることができ、次年度使用額が生じた。次年度以後に研究成果を最大限出すために、本年度の残額は、次年度以後の研究に使用していく予定である。
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