2023 Fiscal Year Research-status Report
Bmal1 regulates allergic rhinaitis symptms via oxdative stress response regulation
Project/Area Number |
23K08932
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中村 勇規 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90580465)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アレルギー / マスト細胞 / 時計遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】近年、IgE/マスト細胞によるアレルギー性鼻炎の病態に酸化ストレスが強く関与し、抗酸化剤投与よってその症状が抑制できることが報告された。また、時計遺伝子Bmal1が酸化ストレス応答において重要な役割を果たすことが示唆されている。本研究では、概日時計Bmal1よる酸化ストレス応答を介したIgE刺激によるマスト細胞脱顆粒反応の制御機構を明らかにするために、Bmal1欠損マウスを用いて検討を行った。 【方法】1. 野生型マウスおよび時計遺伝子Bmal1欠損型マウス骨髄由来培養マスト細胞(BMMCs)を作製し、酸化ストレス応答に関連する遺伝子発現を比較した。2. 野生型および時計遺伝子Bmal1欠損型BMMCsを用いて、IgE刺激による脱顆粒反応を比較した。 【結果】1. 時計遺伝子Bmal1欠損により抗酸化応答に関与する転写因子Nrf2および抗酸化酵素HO-1とSOD2の発現が有意に減少し、酸化ストレス暴露による細胞生存率も有意に低下した。2. 時計遺伝子Bmal1欠損BMMCsにおけるIgE刺激による脱顆粒反応が有意に上昇していた。 【結論】以上の結果から、マスト細胞においてBmal1が細胞内の酸化ストレス応答を制御しており、それがIgEによる脱顆粒反応へも影響する可能性が示唆された。 【今後の予定】上記の成果は、日本アレルギー学会にて発表するとともに、Biochemical and Biophysical Research Communicationsに論文を投稿し、受理された(2024 Jan 1:690:149295. doi: 10.1016/j.bbrc.2023.149295.)。今後は更なる詳細なメカニズムについて解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
野生型マウスおよび時計遺伝子Bmal1欠損型マウス骨髄由来培養マスト細胞(BMMCs)を作製し、酸化ストレス応答に関連する遺伝子発現を比較した。その結果、時計遺伝子Bmal1欠損により抗酸化応答に関与する転写因子Nrf2および抗酸化酵素HO-1とSOD2の発現が有意に減少し、酸化ストレス暴露による細胞生存率も有意に低下することを見出した。次に、野生型および時計遺伝子Bmal1欠損型BMMCsを用いて、IgE刺激による脱顆粒反応を比較した結果、時計遺伝子Bmal1欠損BMMCsにおけるIgE刺激による脱顆粒反応が有意に上昇することを見出した。 以上の結果から、マスト細胞においてBmal1が細胞内の酸化ストレス応答を制御しており、それがIgEによる脱顆粒反応へも影響する可能性が示唆された。 これらの成果は、日本アレルギー学会にて発表するとともに、Biochemical and Biophysical Research Communicationsに論文を投稿し、受理された(2024 Jan 1:690:149295. doi: 10.1016/j.bbrc.2023.149295.)。今後は更なる詳細なメカニズムについて解析を進めていく予定である。 以上のことから、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. マスト細胞選択的にBmal1が欠如したマウスを用いたアレルギー性鼻炎モデルの解析 Bmal1欠損マウスでは全身における酸化ストレスの増加が観察され、それに伴う早期老化が誘導されることが報告されている(Aging 2009)。今後の研究では、マスト細胞のBmal1欠損による抗酸化応答の減弱がもたらすアレルギー性鼻炎への影響を検討するために、Bmal1欠損マウスとリッターマウス(野生型)からBMMCsを作製し、マスト細胞欠損マウス(Wshマウス)に静脈投与を介して全身的に移入し、マスト細胞のみBmal1が欠損したマウスと正常のマスト細胞を有するコントロールマウスを作製する。 その後、これらのマウスに対して卵白アルブミン(OVA)とAlum(AlOH3)アジュバントを用いて,腹腔内投与によって全身的感作する(2週間おきに2回,Day0とDay14)。最終感作の2週間後にOVAを鼻腔投与(チャレンジ)を10日間行い(5回/週)、アレルギー症状として,鼻掻き行動やくしゃみ回数の定量、鼻腔粘膜組織の炎症状態の病理学的検討、脾臓T細胞のアレルゲン特異的な反応性(増殖やIL-4, IL-5, IL-13産生)、OVA特異的IgE、IgG1, 2a産生の解析を行い、マスト細胞におけるBmal1欠損がアレルギー性鼻炎症状に及ぼす影響について検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)研究遂行にあたり、予想以上に順調に進められたことと、当初予定していた消耗品(物品費)の価格が業者との交渉により、一部購入費の削減が可能となったため。 (使用計画)繰越となった研究費は、当初の研究費とあわせて消耗品(物品費)の購入のための支出に充てる予定である。
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