2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of salivary ductal carcinoma classified by tumor characteristics and the PDX model
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23K08945
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
松本 文彦 順天堂大学, 医学部, 教授 (70445584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 泰昌 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (00296708)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 唾液腺導管癌(SDC) / ゲノム解析 / PDXマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液腺導管癌(SDC)は悪性度が高く、高確率での局所再発や遠隔転移により治療に難渋する。現在の治療方針は外科的切除とHER2遺伝子に対するコンパニオン薬やアンドロゲンレセプター(AR)を標的とする治療法があるが、効果は限定的である。加えて、SDCは多彩な組織像を呈し、時に若年者にも発症する。大きくde-novo発症癌(SDCDN)と多形腺腫由来癌(SDCXPA)に分かれ、さらに、それぞれの病因や病態も多彩である。その中で申請者のグループは、前段階的な臨床病理学的な解析から、HER2-/AR+or-のグループにキナーゼ活性の高い腫瘍が多く含まれ予後不良であること、ならびにHMGA2陽性の腫瘍は形態的に異なるグループであることを明らかにした。 そこで、申請者グループの有する本邦中でも豊富な臨床症例に基づく試料を免疫不全マウスへの移植による株化(PDX)モデルを作製し、同時に臨床試料の網羅的ゲノム解析・発現解析を行い、SDCの発がん機構と関連因子を探る。具体的には、SDCDN vs SDCXPA、神経進展 vs 非神経進展及びHMGA2 vs PLAG1等のグループ解析と差分からその発がん機構と予後不良因子を解明する。また、これらから得られる標的の治療薬候補が得られた場合、PDXによる効果判定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.臨床情報の整理と更新 病理組織学的に唾液腺導管癌、多形腺腫由来癌と診断された52症例、また術前唾液腺癌の生検検体約40例の匿名化された詳細な臨床情報のデータベースはすでに作成済みである。転機は随時更新する。 2.ゲノム解析 採取した腫瘍組織(過去のアーカイブからはFFPE資料ならびに新規症例については凍結サンプル)からDNA、RNAを抽出し、下記a-c)の解析は既に実施済みで有る。 a)遺伝子変異解析:次世代シーケンサーを用いて全エクソン解析を施行する。従来のショートリードシーケンサーでは300塩基の配列決定が最大であったが、ロングリードシーケンサーを使用し、1万塩基以上の配列決定を行う。二つの結果を比較し解析することで、解析不能であったリード長の病的配列を決定できる。b)コピー数解析:次世代シーケンサーの解析パイプラインで得られたExome解析の変異データと、リード配列のアライメントデータを使用し、染色体全体の網羅的コピー数解析を行う。c)遺伝子発現量解析:Illumina社のTruSeq RNA Exome, Illumina RNAprep with Enrichmentを用いRNA解析を行い、融合遺伝子検出、microRNAを含む発現解析Illumina社のNext Seq1000を用いて解析を行い、得られたデータをDRAGEN softwareを用い遺伝子発現量を解析する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後下記の通り引き続き進行していく 1.バイオインフォマティクス解析:正常サンプル・腫瘍サンプル、PDXの原発巣・転移巣、高悪性化サンプル・通常サンプルなど、各々の組み合わせのゲノム情報の差分を検出する。メガベースに至る膨大なゲノム情報について、ソフトウエア:Pyclon、LiCHeE、Cell Rangerを使用し、可視化して解析する。これによって、クローン解析、進化系統樹解析、クラスター解析、分化経路の推定が可能となる。 2.PDXモデルの動物実験 a)蛍光活性化セルソーテング(FACS)によるcell sort実験、薬剤投与実験 b)新規PDXモデルの樹立:唾液腺導管癌のPDXライブラリー可能な限りの症例を作成する(推定3-5種)
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Causes of Carryover |
次年度使用額が僅かに生じているが、おおむね計画通りの支出であった。引き続き解析や動物実験等に必要な試薬・消耗品の他、成果発表や情報収集のために使用する予定である。
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